自然災害

宮城県への全国的なリハビリテーション支援の全体像

東日本大震災支援に関する会議に参加する中で、宮城県への全国的なリハビリテーション支援の全体像がようやく見えてきた。 甚大な被害をもたらした東日本大震災だが、地震、津波、そして、原発事故の影響が地域によって全く異なる。仙台市中心部では、震災前…

東日本大震災 被災地の回復期リハ病棟

全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会機関誌2011年4月発行(第10巻第1号・通巻36号)にて、「東日本大震災 被災地の回復期リハ病棟」という特集が組まれています。東北公済病院宮城野分院、東北厚生年金病院、長町病院(以上仙台市)、坂総合病院(塩…

大学同窓会で聞いた武勇伝

昨日、大学医学部全体の同窓会定期総会がありました。今年は、我々の学年が当番だったこともあり、懇親会のあとに二次会のような形で卒年の同窓会を開きました。 近況報告でお互いの武勇伝を披露しあいました。千年に一度と言われる巨大地震、大津波に加え、…

外来棟取り壊し中

外来棟が中破と認定され、取り壊し作業が始まっている。 鹿島:小破・中破・大破とはをみると、建物の被害は、軽微、小破、中破、大破、崩壊に分類されている。中破とは、「柱に典型的なせん断ひびわれ・曲げひび割れ、耐力壁にひび割れが見られ、RC二次壁…

グループホーム型仮設住宅の建設

グループホーム型仮設住宅が、当院近くにできることになった。 宮城県は、震災で被災した高齢者や障害者が共同で住む「グループホーム型仮設住宅」(福祉仮設住宅)を整備する。第1号となる住宅を、今月下旬にも仙台市太白区の「あすと長町」で着工する。 h…

岩手・宮城沿岸部小規模自治体病院の窮状

岩手・宮城沿岸部にある自治体立病院が、被災後に深刻な事態に陥っていることが報道された。 東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城両県の三陸海岸沿いの自治体にある15の公立病院のうち主に高齢者医療の受け皿となっていた7病院が全壊したり、常勤医師が…

「津波被害 -減災社会を築く」

昨日、自宅近くの紀伊国屋書店に行った。震災以来初めてである。ショッピングモール内にテナントとして入っているのだが、建物自体の被害が大きく、全館復旧したのがついこの間である。連結部の損傷が特に大きかった。未だにビル間の渡り廊下は通行止めとな…

震災後も、コーディネーターがいれば地域での生活継続が可能

震災後の厳しい状況の中でも、コーディネーターがいれば地域での生活継続が可能となることをあらためて実感している。 外来棟半壊に伴い、当院で提供していた通所リハビリテーションと通所介護継続が不可能となった。毎日50名以上の利用者がいたため、利用停…

毎日が引っ越し

休止していた当院通所リハビリテーションが来月より再開することになった。3月11日以降、当院リハビリテーション室は、外来棟から引っ越して来た各部門の荷物置き場となっていた。その後、一部を災害時救急と名づけた避難所として使った。さらに、リハビリテ…

岩手、宮城、福島3県沿岸部の医療機関被災状況

現時点における、岩手、宮城、福島3県沿岸部の医療機関被災状況に関する報道があった。 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県沿岸部で、震災から1カ月以上たった今も、外来や手術、入院などの診療を制限している病院が43%に上ること…

地震酔い

東日本大震災後、常時身体が揺れている感じがしている。どうやら、この症状を地震酔いというらしい。 米国の大学で平衡機能などの研究に携わり、めまいについて詳しい添田耳鼻咽喉科(宇都宮市泉が丘4丁目)の添田一弘副院長は「船を下りて陸に上がっても、…

介護施設の苦境

東日本大震災に伴い、要介護者を多数受け入れた特養などの施設が苦境に立たされている。 東日本大震災から1カ月たった今なお、特別養護老人ホームの孤立が続いている。震災直後の混乱期には、体調を崩すお年寄りが急増。被害が小さかったホームは、被災施設…

災害時救急・災害関連疾患予防から地域ネットワーク再構築へ

東日本大震災後の対応を、脳卒中モデルを用いて考えてみた。 # 急性期(震災直後) 地震および地震関連災害(津波、火事など)による損害の確認と被害の拡大予防。 医療分野では、災害時救急医療に相当する。外傷、溺水、低体温などへの対応が必要だった。 …

大災害時における地域ネットワークの力

東日本大震災発生直後、当院関連の介護事業所が最初に行ったのは、利用者の安否確認だった。近隣は当日、遠方のところは翌日までにご自宅を訪問し、緊急対応が必要かどうかを見極めた。在宅酸素療法中の患者で、停電で困っていた患者に対しては、まず、在宅…

リハビリテーションが必要な人はどこにいる

県のリハビリテーション関係者が集まって情報交換を行った。次のようなことが話し合われた。 震災後、外傷や脳血管障害はさほど増加していない。問題は、高齢者や要介護者が低体温や低栄養などの劣悪な環境にさらされていることである。被災し、歩行補助具や…

MONKEY MAJIKのボランティア活動

仙台市在住のMONKEY MAJIKが、津波の被害が著しかった多賀城市でボランティア活動をしています。 仙台・宮城に対するMONKEY MAJIKの愛情が伝わってきます。多くの方に、You tubeの映像と彼らの歌が届いて欲しいと願っています。

医療機関の被災状況と機能連携に向けた取り組み

医師会の会合や個々の医療機関との連携を進める中で、東日本大震災時、仙台市の医療機関がどのような状況に陥ったか少しずつ分かってきた。 # 医療機関の被災と稼働制限 無傷だった医療機関は皆無だった。急性期患者を受け入れた病院でも稼働制限を生じた。…

津波堆積物を用いた巨大津波の研究

今回の大地震は、869年の貞観地震以来であり、1000年に一度の大惨事と言われている。津波堆積物を用いた貞観津波の研究は、http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/index.htmlにまとめられている。 http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/press.htm…

蛸薬師

津波にちなんだ神社がもう一つある。当院の隣にある蛸薬師である。 869年の貞観津波は国府多賀城の城下を襲い、多数の溺死者を出した。1611年の慶長津波でも仙台平野は一帯が冠水。津波は現在の太白区長町4丁目周辺にまで押し寄せ、薬師如来をまつる…

浪分神社

仙台市若林区に浪分神社という小さな神社がある。名前の由来について、次のような記事があった。 東日本大震災で東北地方の太平洋岸に壊滅的な被害をもたらした巨大津波は、869(貞観(じょうがん)11)年の貞観津波に極めて似ている。 東北大災害制御…

ナイチンゲールが知らなかった環境整備

震災直後、様々な患者が病院に押し寄せた。停電となり在宅酸素療法が困難になった方、自宅が損壊し住むことができなくなった方、津波で家族の行方が分からなくなった方など、避難所で対応が難しい方々のためにリハビリテーション室を開放した。 簡易ベッドを…

東日本大震災に関する医療機関への緊急情報

東日本大震災に伴う様々な問題に関して、医療機関・医療従事者の方へが出されている。例えば、「文書保存に係る取扱いについて」次のような記述がある。 関係法令により一定期間の保存が義務付けられている診療録等の文書等について、震災に伴いやむを得ず滅…

東日本大震災被災施設への貸付優遇措置

東日本大震災により被害を受けた社会福祉施設、医療機関等への災害復旧のための貸付について |報道発表資料|厚生労働省が出された。 地震により被災した社会福祉施設、医療機関等の早期復旧を支援するため、福祉医療機構による貸付について、融資率、償還…

震災直後に行った下肢静脈エコー

長い避難所暮らしや車中泊で肺塞栓の危険性が増すことに対し、注意が喚起されている。 榛沢助教が19、20の両日、宮城県登米、石巻両市、南三陸町の避難所を1か所ずつ訪問。足のむくみやけががある、車中泊を続けている――など、血栓ができやすい人に対し…

津波の浸水範囲は平野部で顕著

浸水範囲の土地利用|国土地理院が公表された。八戸から南相馬にわたる地域で津波がどこまで浸水したかが図示されている。青枠で囲まれているところが被災範囲だが、それよりも土地利用種別に色がついているので、カラーになっている部分が浸水範囲と考える…

病院を一時的な「棲み家」としていた患者さんの退院

避難目的で病院を一時的な「棲み家」としていた患者さんが少しずつ退院し始めている。電気が通じ酸素濃縮器が使えるようになった在宅酸素療法患者、水道が復旧したので給水所まで行かなくて済むようになった方、受け入れ再開した短期入所施設を利用する要介…

被災地復興に集結した技術者たち

ライフライン復旧のために、全国から技術者が集結している。 東日本大震災で一般家庭への供給が停止している仙台市の都市ガスの復旧作業を本格化させるため、全国のガス事業関係者で構成する修繕隊の受け入れ式が24日、宮城野区の市ガス局幸町庁舎で行われ…

仙台医療センターが診療制限へ

国立病院機構 仙台医療センターより。 診療について 震災による一部給水設備の損壊度合いが進行したため、3月25日以降の診療は、重症救急患者と緊急性のある再来患者のみの診療とします。 本日、仙台医療センター脳神経外科より、上記事情のため急遽100人ほ…

震災の影響でチラージンSやエンシュアの供給不安定に

大震災の影響で、薬品供給に影響が出ている。まず、甲状腺製剤チラージンSの製造がストップしたことが報道された。 東日本大震災の影響で、甲状腺ホルモン剤「チラーヂンS」(成分名:レボチロキシンナトリウム)の製造がストップしている。製造販売元のあ…

病院再建に向けた会議

外来棟が半壊したことを受け、対策会議が開かれた。失われた機能と残存機能を確認し、選択と集中を図る考え方は、リハビリテーション医療に似ている。限られたスペースの中でどの機能を重視し、何をあきらめるのか真剣な議論が行われた。 病院の再建を目指す…