自然災害

魚市場や商店街、飲屋街の復活こそが被災地の健康被害拡大を防ぐ

震災後の二次的障害として、生活不活発病が注目されている。 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町で、長時間体を動かさないことで日常動作が困難になる「生活不活発病」の疑いのある高齢者(65歳以上)が調査対象の2割を超えることが、町と国立長寿医療…

「がれき処理で30億人に影響」という表現は適切か?

昨日に引き続き、大阪府知事、大阪市長宛に提出されたがれき受け入れについての医師の立場からの意見書(平成23年12月21日)(以下、「意見書」)の批判的吟味を行う。今回は、「がれき処理で30億人に影響」という表現について検討した。【関連エントリー】 …

「がれき受け入れについての医師の立場からの意見書」の数値は正しいのか?

<お詫び> 先程あげたエントリーですが、気になって再検討したところ、大きなミスに気がつきました。申し訳ございません。訂正しましたので、よろしくお願いいたします。 大阪府知事、大阪市長宛に提出されたがれき受け入れについての医師の立場からの意見…

宮城県における仮設住宅「寒さ対策」の遅れ

応急仮設住宅のハード面にかかる改善対策の進捗状況及び自治会の設置状況について |厚生労働省にて、応急仮設住宅のハード面にかかる改善対策の進捗状況について(PDF:4,028KB)が公表された。一見して分かることは、「寒さ対策」の進捗状況が各県で大きな…

震災がれき処理、仙台市では順調

震災がれき処理は、仙台市では順調にきている。一方、宮城県の他地域では苦闘が続いている。【関連エントリー】 震災がれきの処理、まずは岩手県沿岸部分から(2011年11月13日) 仙台市のがれき処理で、1日当たり300トンと最も処理能力が高い荒浜焼却炉…

フェルメール展、被災地宮城で開催

http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/mmoa/ja/exhibition/20111027-s01-01.htmlを見に行った。 当初、フェルメール展は、京都と東京のみの開催予定だった。宮城県美術館開館30周年記念をして、関係者の努力があり、東北地方初公開の準備が進んでいた。 しかし…

震災がれきの処理、まずは岩手県沿岸部分から

岩手県宮古市の震災がれきの広域処理が始まった。 東日本大震災で発生した岩手県宮古市のがれきが三日、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)に貨物列車で搬入され、都内での処理が始まった。東北地方以外の自治体での震災がれき受け入れは初めてで、中間処…

被災地医療の再建に向けた中医協議論

中医協で診療報酬に関する改定作業が始まっている。2011年8月24日 第195回中央社会保険医療協議会総会議事録をみると、被災地訪問・意見交換会の報告を受けた議論が行われている。資料(総−1)(PDF:910KB)にある、今後の対応(案)(別紙5)に次のよ…

震災後の宮城県内人口移動(改訂版)

以前、震災後の宮城県内人口移動(2011年8月9日)というエントリーを記載した。宮城県から、9月2日付で、宮城県の推計人口(平成23年8月1日現在)について(訂正)という報道発表資料が出された。別紙3 市町村別推計人口増減数内訳(平成23年3月1日〜平成23…

要介護認定申請、急激に増加

東日本大震災後、要介護認定申請が増えている。 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村のうち8割の30市町村で、震災後の4〜6月の要介護認定の新規申請件数が昨年同期より増加したことが毎日新聞のまとめで分かった。3…

大震災時に心血管イベントが増えるメカニズム

災害関連疾患として、脳卒中が増えている印象がある。この問題を考えるうえで、http://www.phcd.jp/shiryo/touhoku_kantou_daishinsai_20110311.html#内にある、「大災害時の心血管イベント発生のメカニズムとそのリスク管理(論文)」(苅尾七臣:心臓 Vol.3…

震災後の宮城県内人口移動

震災後の宮城県内人口移動に関する報道があった。 宮城県は8日、東日本大震災後、初となる県内の推計人口を公表した。7月1日現在の県人口は232万5473人(男112万8554人、女119万6919人)で、震災前の3月1日現在と比べ、2万138…

PCATの機敏な活動

日本プライマリ・ケア連合学会が、PCAT("Primary Care for All" Team)という活動をしていることを知った。【関連エントリー】 CCAT(Community Care Assistance Team)という思いつき http://pcat.primary-care.or.jp/htdocs/?page_id=32をみると、次のよ…

東日本大震災時における災害拠点病院の課題

第1回 災害医療等のあり方に関する検討会 |厚生労働省に掲載された資料が興味深い。現在の災害医療の弱点が率直に語られている。 資料1では、東日本大震災時における災害拠点病院の課題について、次のようにまとめられている。 建物の耐震性 耐震性の低い…

被災地の介護施設で「震災関連死」が多発か?

被災地の介護施設で「震災関連死」が多発している可能性があることが報道された。【関連エントリー】 災害弔慰金、災害障害見舞金の適応となる状態(2011年7月5日) 東日本大震災における関連死数、実態不明(2011年7月7日) 岩手、宮城、福島3県の被災42…

停電時の介護機器対応方法

在宅診療委員会にて、停電時の介護機器対応方法が話題となった。電動ベッドが背あげした状態のままとなり、エアマットも効かなくなったため、褥瘡を生じた患者がいた。業者が持ってきた資料がネット上にないかと思って探したところ、http://www.hearts-eiko.…

高速道路無料化は、はた迷惑

高速道路無料化は、はた迷惑である。 岩手、宮城、福島3県の高速道で、被災者らを対象とした無料化が始まってから事故が増えている。交通量の増加とともに、被災証明書を提示する料金所で渋滞が起きており、県警や東日本高速道路会社が対策に乗り出した。 h…

東日本大震災における関連死数、実態不明

東日本大震災における関連死数を調べてみたが、実態がよく分からない。 東日本大震災 坂総合病院の取り組み - 死亡者数 統計(3月)をみると、2011年3月だけで、21名が災害関連死疑いとなっている。 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110609/dst110609…

震災関連疾患疑いでリハビリテーション施行したものは約2割

当院でリハビリテーションを施行した入院患者において、原因疾患と震災との関連についてまとめたところ、次のようになった。 関連なし 震災関連疑い 3/12〜 18 18 4/1〜 26 13 5/1〜 39 5 6/1〜7/1 42 7 計 125 43 震災関連疾患を類型化して表示すると、以下…

災害弔慰金、災害障害見舞金の適応となる状態

http://www.bousai.go.jp/jishin/law/018-1.htmlをどのように適応するかが各自治体で問題となっている。http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/saigaikyujo4.htmlに簡潔なまとめがある。 災害弔慰金、災害障害見舞金の概要 ○参考法令「災害弔慰金の支給…

戒名料に依存する寺院の行く末

朝日新聞の記事、「戒名料受け取れない」(2011年7月3日)より。なお、本記事はネットにはまだ公開されていない。 東日本大震災で多くの命が失われた被災地の寺院で、戒名料の受け取りを自粛する動きが広がっている。家族や自宅を失った被災者に配慮した。一…

支援の必要性を可視化する

東日本大震災において、行政の壁の厚さを嘆く声をよく聞く。規定にしばられ、縦割り行政の中でたらい回しされ、支援のタイミングが失われていく。深部静脈血栓症予防、生活不活発病対策、栄養改善、口腔衛生、心のケア、震災関連疾患予防など個別の課題が重…

CCAT(Community Care Assistance Team)という思いつき

第3回宮城県リハビリテーション支援会議が開催された。様々な情報交換をする中で浮かんだアイディアがあるので、メモをする。 今回の大震災を受け、リハビリテーション支援関連10団体が活動を行っている。ただし、広範囲かつ甚大な被害への迅速な対応が迫ら…

生活保護打切りの根拠は50年前の厚生省通知

義援金等が払われたことにより生活保護を打ち切られる例が続出している。 東日本大震災の義援金や東京電力福島第1原発事故による仮払い補償金を受け取った福島県南相馬市などの約150世帯が生活保護を打ち切られていたことが16日、分かった。自治体側は…

仙台平野は津波の常襲地帯

仙台平野は津波の常襲地帯だったと主張する郷土史家の本が出版された。 東日本大震災前から巨大津波の襲来を警告していた仙台市の郷土史家飯沼勇義さん(80)が、新著「3・11 その日を忘れない。 歴史上の大津波、未来への道しるべ」を出版した。 (中…

光のページェントと神戸ルミナリエ

光のページェントが、東日本大震災を乗り越え、今年も開かれることになった。【関連エントリー】 雪のページェント(2010年12月25日) 実行委によると、電飾は仙台市宮城野区蒲生地区の倉庫で保管していた。3月11日の津波はその倉庫を直撃、一昨年、昨年…

津波被災地域隣接地で通所介護を立ち上げる

津波被災地域隣接地にある若林クリニックにて通所介護を立ち上げることを、本日の法人理事会にて確認した。 仙台市沿岸部を襲った津波は、仙台東部道路で勢いこそせきとめられたが、若林クリニックまで押し寄せた。沿岸部の被災者は付近の六郷中学校や六郷市…

東日本大震災で8割の病院が被災

東日本大震災が医療機関に与えた影響が、第18回社会保障審議会医療部会資料(平成23年6月8日)の資料1 東日本大震災等に係る状況全体版(PDF:4870KB)に載っている。 東日本大震災における医療分野の特徴及び検討課題について ○ 地震より津波の影響が大きく…

仮設住宅だけできても生活は困難

不自由な避難所暮らしをしている方にとって、医・食・住のうち、住宅さえあれば安定した生活をおくることができると思っている新聞社がある。 ■ここは3食出る 宮城県大崎市の鳴子温泉の宿泊施設に避難している南三陸町の佐々木とし江さん(79)は、4月2…

もしも石巻に大地震が起こったら

宮城県医師会報(2011年6月号)が手元に届いた。災害時医療を経験してという宮城県医師会常任理事登米祐也先生の文章を読むと、震災発生当時、情報収集が如何に困難だったかが思い起こされる。 巻頭文に続き、「もしも石巻に大地震が起こったら」と題した石…