津波堆積物を用いた巨大津波の研究

 今回の大地震は、869年の貞観地震以来であり、1000年に一度の大惨事と言われている。津波堆積物を用いた貞観津波の研究は、http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/index.htmlにまとめられている。
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/Tohoku/press.html内に、文献資料がある。


 澤井祐紀ほか(2006)仙台平野の堆積物に記録された歴史時代の巨大津波−1611年慶長津波と869年貞観津波の浸水域−, 地質ニュース 624号.が最初の文献である。図表をみると、1611年慶長津波と869年貞観津波における仙台平野の浸水域は、ほぼ今回の大津波と同じであることがわかる。
 さらに、最も新しい宍倉正展ほか(2010)平安の人々が見た巨大津波を再現する−西暦869年貞観津波−,AFERCニュース,No.16/2010年8月号.を見ると、次のような記載がある。

 以上の結果を踏まえ,石巻平野から南相馬市小高区にかけて見られる津波堆積物の広域対比を行うと,西暦 1500 年頃のイベント(石巻の結果をもとに算出),貞観津波(西暦 869 年),西暦 430 年頃 のイベント(南相馬市小高区の結果をもとに算出), 紀元前 390 年頃のイベント(山元町の結果をもとに算出)が共通してみられる津波イベントであることが分かりました.これらの津波の再来間隔は, おおよそ 450 年~800 年程度の幅を持っていることが,この調査から明らかになりました.


 千年に一度の大災害ではなく、数百年に1回は覚悟をしなければいけない自然現象だったということになる。今回の地震をきっかけに、日本列島が地震活動期に入ったとも言われている。稀な現象と侮らずに、大地震・巨大津波を想定した対策を強化することが日本全国で必要になっている。