地域包括医療病棟の見直し

 2026年度診療報酬改定の概要が明らかになった。中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くをもとに、今後の方向性について検討する。

 

 今回は、地域包括医療病棟を取り上げる。総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くの173〜176ページに記述がある。

 

 

 地域包括医療病棟入院料1は、一般病棟入院料を算定する病棟を有していないことが施設基準となっている。

 地域包括医療病棟入院料2の方を改訂前と比較すると次のとおりになる。手術をほとんど行なっていない病棟だと入院料単体で大幅な増加となる仕組みである。なお、手術はどの入院料でも出来高算定可能なままである。地域包括医療病棟入院料2の入院料1は、改訂前と比し50床の病棟だと約4,850万円の増収となる。

  • 地域包括医療病棟入院料2
    • 入院料1 :緊急入院の患者に対し手術をしない 3,316点(+266点)
    • 入院料2:緊急入院の患者に対し手術をするが、予定入院は手術をしない 3,216点(+166点)
    • 入院料3:予定入院に手術を実施 3,066点(+16点)

 急性期病棟と比し医療・看護必要度も低いので、高齢者救急をこの病棟に集中させることで、他の病棟の医療・看護必要度の基準をクリアしやすくなる。

 

 リハビリテーション・栄養・口腔連携加算は次のように変更となっている。療法士の専従要件と、プロセス・アウトカム評価が異なっている。

 

 地域包括医療病棟の施設基準は、中央社会保険医療協議会 総会(第624回) 議事次第|厚生労働省総-7入院について(その4)[9.8MB]別ウィンドウで開くを見ると、次のようになっている。

 

 

 上記表に示された基準のうち、今回変更されたのは、地域包括医療病棟入院料1の医療・看護必要度などである。地域包括医療病棟入院料2に関しては、大幅な変更はないようだ。

 

 地域包括医療病棟入院料に関しては、施設基準には大きな変更はないが、手術をほとんど行なっていない病棟(出来高が少ない病棟)の底上げがされたという改定が行われた。国は高度急性期・急性期病棟から包括期を担う病棟への移行を進めたいと考えている。今回の改定を受け、地域包括医療病棟入院料への転換する医療機関が増えるのではないかと予想する。

 

地域包括ケア病棟(病床)に関する診療報酬改定

 2026年度診療報酬改定の概要が明らかになった。中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-2別紙1-1医科診療報酬点数表[PDF形式:8.3MB]別ウィンドウで開く総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くをもとに地域包括ケア病棟(病床)に関する主な変更点を確認する。

 

 診療報酬点数表を見ると、地域包括ケア病棟入院料1(地域包括ケア入院医療管理料1)は次のとおりである。

  • 40日以内 2,955点(+117点)
  • 41日以上 2,807点(+117点)

 

 今回新たに算定可能となった加算のなかで、もっともインパクトが強いのは、包括期充実体制加算である。

  • 包括期充実体制加算(1日につき) 80点

 

 次にインパクトが強いのは、身体拘束最小化推進体制加算である。ただし、身体拘束に関しては細かな規定変更もあり、実際に算定した方が良いかどうか検討が必要である。

  • 身体拘束最小化推進体制加算(1日につき) 40点

 

 リハビリテーション・栄養管理・口腔管理連携体制加算も地域包括ケア病棟で算定可能となった。ただし、疾患別リハビリテーション料が包括になっているにも関わらず、プロセス・アウトカム指標が厳しいため、実際に算定するかどうかは慎重に検討する必要がある。

 (2026年2月15日追記)

 なお、地域包括ケア病棟におけるリハビリテーション・栄養管理・口腔管理連携体制加算の点数は、14日を限度として30点(1日あたり)である。

 

 在宅患者支援病床初期加算も救急搬送から緊急入院に対象が拡大され、点数が若干上がった。

  • 介護老健施設から
    • 緊急入院 590点 (← 救急搬送 580点)
    • それ以外 410点 (← 480点)
  • 介護医療院、特別養護老人ホーム軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から
    • 緊急入院 490点 (← 救急搬送 480点)
    • それ以外 310点 (← 380点)

 

 上記のほかに、地域包括ケア病棟(病床)に関しては、算定可能な加算がいくつか追加されている。

 回復期リハビリテーション病棟入院料の低い基準と地域包括ケア病棟の高い基準とを比べ、後者の方がより経営的に安定すると判断し移行する医療機関があってもおかしくない。特に運動器リハビリテーション料や廃用症候群リハビリテーション料対象患者が多い病棟は両者を比較検討してみることが必要になる。

入院料に包括されない除外薬剤・注射薬の範囲の見直し

 2026年度診療報酬改定の概要が明らかになった。中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くの197〜205ページをもとに、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟などの入院料に包括されない除外薬剤・駐車範囲の見直しについてまとめる。

 

 

 まず、別表第5の1の2にこれまで含まれていた薬剤を列挙する。

 今回、上記薬剤に追加された薬剤は次のとおりである。

  • 抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る)
  • 疼痛コントロールのための医療用麻薬
  • エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る)、ダルベポエチン(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る)及びエポチンベータ(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る)
  • HIF-PH阻害剤(人工腎臓又は腹膜灌流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る)
  • 生物学的製剤(免疫・アレルギー疾患の治療のために入院前から投与が継続されており、他の治療薬で代替不能な場合に限る)
  • JAK阻害薬(免疫・アレルギー疾患の治療のために入院前から投与が継続されており、他の治療薬で代替不能な場合に限る)

 

 これまでは、抗悪性腫瘍剤や生物学的製剤などの高価薬を使用している患者は、薬剤費が包括されることを理由に回復期リハビリテーション病棟受入れを断念していたが、今後は可能となる。

 

 なお、令和6年度診療報酬改定による恒常的な感染症対応への見直しを踏まえた新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の取扱い等について[286KB]では、「抗ウイルス剤(新型コロナウイルス感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。 )を療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行ったうえで投与した場合に、抗ウイルス剤(B 型肝炎又は C 型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能若しくは効果を有するものに限る。 )とみなして、本剤に係る薬剤料を算定できる。」となっていたが、今後は包括される薬剤となることに注意が必要である。

回復期リハビリテーション病棟収益最大化の条件

 2026年度診療報酬改定の概要が明らかになった。中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くをもとに、今後の方向性について検討する。

 

 まず、回復期リハビリテーション病棟収益最大化の条件を検討する。

 

 総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くの177〜186ページに、回復期リハビリテーション病棟入院料等の評価体系及び要件の見直し、に関する記載がある。回復期リハビリテーション料1における診療報酬及び施設基準の変更点は以下のようになる。

 

[診療報酬]

 

[施設基準]

  • 新規入院患者重症患者割合 35%以上(← 40%以上)
  • 重症患者回復要件 (削除)
  • 実績指数 42以上(← 40以上)
  • 回復期リハビリテーション強化体制加算の要件
    • 回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準を満たしていること
    • 実績指数 48以上
    • 退院前訪問指導について、十分な実績を有していること
    • 排尿自立支援加算に関する届出を行なっている医療機関であること
  • 重症患者要件
  • 土曜日、休日要件

 

 実績指数の算出方法の変更及び除外対象患者の見直し等については、総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くの489〜495ページに次のように記載されている。

 

[実績指数の算出方法の変更]

  • リハビリテーション実績指数の算出方法について、FIM運動項目のうち「歩行・車椅子」及び「トイレ動作」の得点について、入棟中又は入室中に5点以下から6点以上に上がった場合、分子のFIM運動項目利得に1点を加えることとする。

[除外対象患者の見直し]

  • リハビリテーション実績指数の算出から除外できる要件のうち、「年齢が 80 歳以上のもの」を削除する。
  • リハビリテーション実績指数の算出から除外できる要件のうち、「FIM運動項目の得点が 20 点以下のもの」について、疾患別リハビリテーションの実施単位数が1日平均6単位を超えるものは対象から除く。
  • リハビリテーション実績指数の算出から除外できる要件のうち、「FIM認知項目の得点が 24 点以下のもの」を「FIM認知項目の得点が14 点以下のもの」に見直す。
  • リハビリテーション実績指数の算出から除外できる患者要件の変更に伴い、リハビリテーション実績指数の算出から除外できる割合について、100 分の 30 を超えない範囲から 100 分の 20 を超えない範囲に見直す。

 ⇨ 上記変更の結果、除外患者できる患者は次のようになる。なお、6ヶ月間の退棟患者中脳血管疾患等による高次脳機能障害患者が4割以上の医療機関では、当該月に入棟した高次脳機能障害患者を全て除外できる規定は残っている。

  • FIM運動項目の得点が 20 点以下のもの
    • 入院中に、1日あたり平均実施単位が6単位を超えたため除外できる患者でなくなった場合には、一覧性のある台帳に、その経緯が分かるように記載する。
  • FIM運動項目の得点が 76 点以上のもの
  • FIM認知項目の得点が 14 点以下のもの
  • 基本診療料の施設基準等別表第九に掲げる「急性心筋梗塞狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」に該当するもの

 

 質の高いリハビリテーションの推進、早期からのリハビリテーション介入の推進については、総-1個別改定項目について[PDF形式:4.8MB]別ウィンドウで開くの550〜564ページに記載がある。特に重要なものは次の2点である。

  • 疾患別リハビリテーション料に係る算定単位数の上限が緩和される対象患者のうち、「入院中の患者であって、その入院する病棟において早期歩行、ADLの自立等を目的」とする疾患別リハビリテーション料から、運動器リハビリテーション料(I)を削除する。

  • 各疾患別リハビリテーションについて、離床を伴わずに行う場合の区分を新設し、100分の90に相当する点数を算定する。この場合、1日2単位までとする。

 

 上記内容をふまえ、回復期リハビリテーション病棟収益最大化の条件をまとめる。

  • 回復期リハビリテーション入院料1を算定できるように施設基準を満たす。
  • 回復期リハビリテーション強化体制加算を算定するできるように施設基準を満たす。
  • 重症患者要件を考慮し、高次脳機能障害、脊髄損傷のある脳血管疾患等患者の受入れを進める。
  • 移乗自立、歩行自立が見込めそうな患者の受入れを進める。
  • リハビリテーション単位数が6単位に制限される運動器リハビリテーション料対象患者よりは、他の疾患別リハビリテーション料患者、特に脳血管疾患等リハビリテーション料患者を多く受け入れる。
  • 重症患者要件から外れるFIM合計得点20点以下(18〜20点)の患者は、認知項目14点以下という要件で実績指数対象から除外することは可能だが、離床を伴う訓練ができないことが多いことをふまえ、積極的な対象としない。
  • FIM運動項目得点20点以下(13〜20点)の患者に関しては、原則実績指数の除外対象とはできないことをふまえ、離床訓練を積極的に行い1日6単位を超える訓練が可能な者を中心に受け入れる。

 

 上記対応をした場合、介助での経口摂取が最大の目標となる超重症患者は、おそらく回復期リハビリテーション病棟の対象から外さざるをえない。また、地域包括ケア病棟は疾患別リハビリテーション料が包括であり、十分な対応は不可能である。受け皿がなく、行き場がない超重症患者が急性期病院に滞留してしまうようになるのではないかと危惧する。

 

 

 

 

障害年金不支給倍増の背景と対策

 昨日、次のような記事が共同通信から配信された。

 本日、次のような続報が出ていた。

 

 2つの記事を見ると、次のような内容となっている。

 障害者に支給される国の障害年金を申請して2024年度に不支給と判定された人が、23年度の2倍以上に急増し約3万人に上ることが28日、共同通信が入手した日本年金機構の内部資料で分かった。機構が統計を取り始めた19年度以降で最多。審査された6人に1人程度が不支給になった計算で、割合も前年度の約2倍に増え、過去最大となる見通し。

 判定基準の変更はなく、急増の要因について年金機構の複数の関係者は担当部署のトップが厳しい考え方の人間に代わったことを指摘。

 機構は首都圏の判定医140人それぞれについて、傾向と対策のような文書を内部で作成。「こちら(職員側)であらかじめ(判定を)決めておく」などと書いている。

 

 信じがたい話だが、事態を憂慮した関係者からの内部告発と思われ、信憑性が高い記事と判断する。

 

 第5回社会保障審議会年金部会(2023年6月26日) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230626.html障害年金制度資料2(PDF:1,535KB) に障害年金受給権者の現状に関する資料がある。

 



 

 

 障害基礎年金、障害厚生年金とも受給権者は増加傾向にある。令和3年度(2021年度)の新規裁定件数は123,901人である。そのうち「精神障害・知的障害」が66.1%を占めており、直近3年間を見ても増加傾向にある。

 参考資料を見ると、2017年4月より障害年金センターで障害年金の審査業務が一元化されている。「障害年金の申請に対する不支給決定割合の地域差解消に向けて、特に認定結果の差異が大きい精神障害の等級判定に関するガイドラインを策定。認定業務の集約化と相まって、地域差は着実に縮小。」という記載がある。

 なお、障害認定基準は国民年金・厚生年金保険 障害年金基準 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html に詳しく記載されている。精神の障害に関しては、『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』にリンクが貼られている。

 障害年金を受給できる範囲が広いことが周知された結果、「精神障害・知的障害」を中心に障害年金申請件数が増加している。このことを問題視した年金機構の一部幹部が「基準の厳密化」を図り、診断書を記載した医師や判定医の判断を軽視して、事務部門だけで判定を行おうとしている状況と推測する。医師の専門性を軽視したあってはならない対応である。そもそも年間十数万件にも及ぶ申請件数を障害年金センターで対応できるのかどうかが疑問である。以前行われていた各都道府県事務センターや広域事務センターで行うという仕組みに戻す方がまだ合理的である。

 リハビリテーション科においても、脳障害に伴う高次脳機能障害者の障害年金申請を、精神の障害で行うことは少なくなく、人ごとではない。障害年金認定制度に不具合が生じているという前提で、これまで以上に丁寧な診断書を記載することが求められる。あわせて、不服申し立ての仕組みを理解し、障害年金の申請をした方が速やかに審査請求できるように援助をすることが必要である。この件に関しては、NPO法人 障害年金支援ネットワーク - NPO法人 障害年金支援ネットワークに詳しく記載されている。

 障害者に対する経済的な締め付けであり、許しがたい。共同通信からの続報を期待する。

回復期リハビリテーション病棟入院料1は実質大幅マイナス改定

 2024年度診療報酬改定の答申が出た。中央社会保険医療協議会総会(第584回)議事次第(2024年2月14日)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00247.html に具体的資料がある。回復期リハビリテーション病棟に関しては、主な改定項目をまとめた総-1(PDF:5MB) の322〜326ページと医科診療報酬点数表 総-2別紙1-1(PDF:2MB) の97〜100ページにある。なお、医療資源の少ない地域において、回復期リハビリテーション病棟に相当する機能を有する病室について、回復期リハビリテーション入院料の届出を病室単位で可能な区分を新設する目的で新設された回復期リハビリテーション入院医療管理料については、総-1(PDF:5MB) の110〜119ページに説明がある。

 これまで取り上げてきた内容に新たに付け加えるものはほとんどない。

 回復期リハビリテーション病棟入院料1は2,129点から2,229点と100点アップしたが、体制強化加算1(200点)をとっていた場合には、あわせてマイナス100点となる。専従医の労働の自由度は高まったが、新たな基準も加わったことを考慮すると割に合わない改定と言える。

 

地域包括医療病棟入院料とは何か?

 新設された地域包括医療病棟入院料とは何かをこの数日ずっと考えている。現時点で整理した内容をまとめてみた。

 

 中央社会保険医療協議会総会(第584回)議事次第(2024年2月14日)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00247.html にある個別改定項目資料 総-1(PDF:5MB)の169〜176ページと医科診療報酬点数表 総-2別紙1-1(PDF:2MB)の69〜91ページに今回新設された地域包括医療病棟入院料の内容が記載されている。

 急性期一般入院料4と地域包括ケア病棟入院料1との比較表を作成してみた。重症度、医療看護必要度と基本点数部分は、今回の診療報酬改定をふまえた数値を入れた。地域包括ケア病棟入院料1で41日以上で診療報酬が大幅に下がっているところが目につく。

 地域包括医療病棟入院料の列のなかで赤字で強調したところが急性期一般入院料4と近似した部分であり、青字としたところが地域包括ケア病棟入院料1と同等の性格を持つ部分である。紫色のところは回復期リハビリテーション病棟入院料と同じような方向性を持つ。

 まず、看護職員だが、急性期一般入院料4が10対1であるのに対し、地域包括ケア病棟入院料1は13対1である。

 重症度、医療看護必要度は地域包括医療病棟入院料と同じ割合となる急性期一般入院料4を選んだので、当然一致している。ただし、入棟初日にADL項目であるB項目基準が設けられているのが特徴である。地域包括ケア病棟入院料1の基準は両者に比べクリアが容易なものとなっている。なお、本表には記載しなかったが、地域包括医療病棟入院料においては、「当該病棟において、入院患者に占める、救急用の自動車等により緊急に搬送された患者又は他の保険医療機関で区分番号●●に掲げる救急患者連携搬送料を算定し当該他の保険医療機関から搬送された患者の割合が1割5分以上であること。」という要件もある。

 平均在院日数は、急性期一般入院料4、地域包括医療病棟入院料いずれも21日以内となっている。入退院を頻回に行うことが求められている。一方、地域包括ケア病棟入院料1は最長60日間の入院が可能であり、平均在院日数という概念はない。

 在宅復帰率80%以上という基準は地域包括ケア病棟入院料1の72.5%と比し、かなり厳しいように見える。しかし、この数値はおそらく介護老人保健施設を含んだものである。2023年11月10日(第563回)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00222.html と11月15日(第564回)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00223.html で取り上げられた。入院(その3)総-2(PDF:6MB) に在宅復帰率に関するわかりやすい図がある。

 急性期一般入院料で在宅復帰・病床機能連携率の概念があるのは入院料1だけである。地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟と異なり、急性期一般入院料1では介護老人保健施設が含まれている。おそらく、地域包括医療病棟入院料も急性期医療を担う病棟と見なされるということを考えると、急性期一般入院料1と同じ基準になるのではないかと予想する。

 基本点数は急性期一般入院料4が最も低い。しかし、入院当初に厚い各種加算や出来高部分を含めると、2022年度のレセプト請求点数は3,919点(入院料4〜6)となる。入院料5、6と比べ4の方が高得点となることを考えると、4,000点は超えていると推測する。一方、地域包括ケア病棟入院料1の方は3,196点に過ぎない。加算部分や出来高部分が少ないことが理由として考えられる。特に、リハビリテーションを提供する患者においては1日平均2単位以上の実施が求められているにも関わらず、リハビリテーション料が包括されている影響が大きい。なお、本データは、中央社会保険医療協議会総会(第548回)議事次第(2023年7月5日) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00193.html、入院について(その1)総-4 にある。

 新設された地域包括医療病棟は加算部分が意外に多い。また、包括部分が少なくないが、リハビリテーション料はどうやら出来高のようである。手術も包括部分には入っていない。したがって、地域包括ケア病棟入院料1よりはレセプト請求点数は高くなるのではないかと予想する。

 

 地域包括医療病棟入院料は、特定機能病院、急性期充実体制加算の届出を行なっている病院、専門病院入院基本料の届出を行なっている病院は対象とならない。したがって、中小病院が主な対象となる。急性期病棟を抱え、かつ、リハビリテーション医療にも積極的に取り組んでいる中小病院にとって、地域包括医療病棟入院料は魅力的な選択肢となっている。施設基準その他が明確になるのはまだ先だが、現時点で明らかになっている部分だけでも当てはめ作業を進めてみる価値はある。