岩手・宮城沿岸部小規模自治体病院の窮状

 岩手・宮城沿岸部にある自治体立病院が、被災後に深刻な事態に陥っていることが報道された。

 東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城両県の三陸海岸沿いの自治体にある15の公立病院のうち主に高齢者医療の受け皿となっていた7病院が全壊したり、常勤医師がいなくなったりして早期復旧が困難なことが朝日新聞社の調べで分かった。地元大学は医師会、県と医療機関の集約化を視野に入れながら、医療復興策の検討を始めた。

http://www.asahi.com/national/update/0507/TKY201105070476.html


 記事を見ても、15病院がどこかは記載されていない。気になったので、’n•ûŒö‰cŠé‹Æ”NŠÓ@•a‰@Ž–‹Æを参考にして調べてみたところ、以下の病院ではないかと判断した。なお、病床数は平成21年度データである。朝日新聞の記事にあった復旧困難な病院の情報もあわせて載せる。医師不足のためか、病床数が減少した医療機関が散見される。


# 岩手県

  • 国保種市病院(洋野町)(96床)
  • 県立久慈病院(342床)
  • 県立宮古病院(387床)
  • 立山田病院(60床): 一般60床。常勤医は整形外科と外科の2人だけ。
  • 県立大槌病院(121床): 一般58床感染2床。常勤医は3人。
  • 県立釜石病院(272床)
  • 県立大船渡病院(489床)
  • 県立高田病院(136床): 一般70床。常勤医は6人。


# 宮城県

  • 気仙沼市立病院(451床)
  • 同本吉病院(38床): 一般38床。常勤医2人がいずれも辞表を提出。
  • 公立志津川病院(南三陸町)(126床): 一般76床、療養50床。常勤医6人。約20km離れた登米市内の医療機関の休止病棟を借りて入院受け入れを再開。
  • 石巻市立病院(206床): 一般206床。常勤医は26人。震災後、実働医師数が10人ほど減少。半年後をめどに100床程度の手術もできる仮設病院を建てる。
  • 雄勝病院(49床): 療養40床。常勤医3人。
  • 同牡鹿病院(40床)
  • 女川町立病院(98床)


 巨大津波の影響で、各自治体は深刻な打撃を受けた。市街地の再建とならんで、医療機関の再配置が必須の状況となっている。もともと医師不足に悩んでいる状況で集約化が迫られることは間違いない。ただし、鉄道も壊滅的な打撃を受け、高速道路網もほとんどない中で、入院機能を担う地域医療機関が消滅することは、その場所で生活し続けることが難しくなることを意味する。地域自治体側も医師を派遣する側も難しい決断が求められている。