病院を一時的な「棲み家」としていた患者さんの退院

 避難目的で病院を一時的な「棲み家」としていた患者さんが少しずつ退院し始めている。電気が通じ酸素濃縮器が使えるようになった在宅酸素療法患者、水道が復旧したので給水所まで行かなくて済むようになった方、受け入れ再開した短期入所施設を利用する要介護者、ガソリンが手に入りやっと家族が病院まで来れるようになった人、避難所暮らしをしていた家族と連絡がつくようになった例など、様々なパターンがある。震災直後になんとか無理をして病院が居場所を確保したことが、生活の再建に結びついたのではないかと自負している。
 病院内には、津波で自宅が押し流された方、住宅が倒壊した方など住まい自体がない方がまだいる。仮設住宅完成までにはかなりの時間がかかる。震災後、各医療機関社会的入院を抱えざるをえなくなっており、治療が必要な方の受け入れが困難になってしまうことが危惧される。病院が本来の機能を果たすためには、「住まい」の確保が何よりも大事である。