要介護認定の見直し、厚労省白旗を掲げる

 「第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」において、厚労省は白旗を掲げた。

 介護保険サービスで、利用者の介護の必要度を判断する「要介護認定」の基準について、厚生労働省は28日、大幅に修正することを決めた。基準は4月に改定されたばかりだが、従来より軽度に認定されて受けられるサービスが減った人が相次いだため。10月からの実施を目指す。

 厚労省は、基準改定の影響を調べるため、全国1489自治体の4月、5月の要介護認定の状況について調査。新基準で、認定を受けた約28万人のうち、介護の必要なしとして「非該当」と認定された人の割合は、2.4%と、前年同期の0.9%から急増した。非該当と軽度(要支援1.2、要介護1)と認定された人を合わせた割合は53.6%と、前年同期より4.1ポイント増えた。

 修正案は、調査項目の74項目のうち43項目を修正する。例えば、座った状態をどれだけ保てるかで身体状態をチェックするが、旧基準は「10分程度」だったが、新基準は「1分程度」に短縮。修正案では「10分程度」に戻す。

 修正案でシミュレーションした結果、要介護度別の認定割合は、ほぼ改定前の割合になったという。(中村靖三郎)

http://www.asahi.com/national/update/0728/TKY200907280375.html


 http://www.mhlw.go.jp/za/0728/d05/d05.html資料3 要介護認定状況の調査結果について(第二次集計)(全文PDF:2,517KB)より、更新申請者の資料を提示する。

 2009年4・5月判定にて、非該当者は2.8%から6.7%へ、要支援1は16.0%から18.7%へと増えている。


 経過措置適用前のデータをみると、非該当者は0.4%から1.6%へ、要支援1は13.0%から17.2%へと増加している。


 経過措置適用前の二次判定変更率は、「変わらない」が76.4%となった。これまでの変更率の中で最も高い。


 前回二次判定との比較をみると、経過措置適用前では、「前回より軽度に変更された」が19.5%と急増している。


 認知症高齢者自立度自立及びIでは、経過措置適用前では、「前回より軽度に変更された」が25.1%にも及んでいる。


 同様に認知症高齢者自立度II以上でも、経過措置適用前では、「前回より軽度に変更された」が14.0%になっている。


 一次判定のみでいうと、前回二次判定と比べ、「前回より軽度に変更された」が34.5%と1/3を超えている。


 さすがにここまで軽度化が明白だと、厚労省も抵抗できないと悟らざるをえない。介護報酬抑制を狙い、要介護認定制度変更が見事に頓挫した。「認知症の人と家族の会」、「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」などが、要介護認定制度変更の危険性について、旺盛に訴えた成果である。なお、10月から実施される新しい要介護認定システムが適切な内容かどうか検証が必要である。引き続き監視を強めていくことにする。