回復期リハビリテーション病棟の実績評価が診療報酬改定論議の焦点に

 2020年度診療報酬改定に向けて、中医協の議論が佳境を迎えている。中央社会保険医療協議会総会(第439回)議事次第では、入院医療(その4)について総ー2(PDF:5,215KB)を用い回復期リハビリテーション病棟の議論が行われた。

 2019年11月29日の中医協総会における主な論点は、以下にまとめられている。

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 12月6日の中医協総会では、実績指数に関して集中的議論が行われた。各種配信ニュースを見ると、診療側が入院料1、3、5についてリハビリの実績指数の基準値引き上げに反対、支払側は引き上げに賛成した上で入院料2、4、6へ新たに基準値を導入することを要求、厚労省は2、4、6への導入には消極的という図式になっている。

 厚労省の資料を見ると、回復期リハ病棟入院料施設数、病床数は順調に増加している。その中でも、実績指数の要件が加わる入院料1、3の方が、要件のない2、4と比べて多くなっている。

 

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 リハビリテーション実績指数は、2017年10月と2018年10月とを比較すると大きく上昇している。中央値で見ると、入院料1で45、入院料3で40となっており、基準を大きく上回っている。

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 リハビリテーション実績指数を増やすためには、分子であるFIM運動項目増加を増やすか、分母である実入院期間/上限入院期間比を減らすしかない。なお、発症から入棟までの期間が短くなるとFIM増加が大きくなる傾向があることがわかっており、早期入棟患者が増えたことがリハビリテーション実績指数の向上と関係しているのではないかと厚労省は考えているようだ。入院期間短縮に関する資料も探せばあるかもしれないが、今回の資料には含まれていなかった。その他にも、入棟日数の短縮や除外規定の利用、改善度が高くなると見込まれる患者の選別なども影響を及ぼしていると予想する。

 

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 厚労省の提案は、下記2枚の図にまとめられている。入院料3と5では同じ実績指数30が基準となっているが、この2類型に差をつける。また、それぞれの実績指数の数値を実態を踏まえて変更するという提案である。

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 入院患者に関する要件として、発症後2ヶ月ないし1ヶ月以内に入棟することが必要という規定があるが、早期受入が進んでいる反面、様々な事情で期限内に入棟できない患者のことも考慮し、期限を見直すことが提案されている。困難患者を抱えている急性期病院にとっては朗報と言える。

 以上2点に関する提案が下記スライドにまとめられている。

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 リハビリテーション実績指数が最終的にどのような水準になるのかは、現時点では全く予想できない。厚労省が落としどころを探っているところである。いずれにせよ、前回に引き続き実績指数のハードルは上がることになる。これまで以上に、早期受入、入院期間短縮が迫られることは間違いない。経営を優先させ、中途半端な状態で退院させることになってしまっては本末転倒となる。今後、どのように回復期リハビリテーション病棟を運営していくのか、難しい舵取りが求められている。