訪問リハステーション、2012年度設立目指す

 CBニュース、訪問リハステーションの新設目指すーリハ病院・施設協会より、訪問リハステーションの話題について。

訪問リハステーションの新設目指すーリハ病院・施設協会


 日本リハビリテーション病院・施設協会が10月11日、東京都内で開いた「2008年度第1回リハビリテーション研修会」で、浜村明徳会長が「介護報酬改定の動向」をテーマに講演、介護保険制度での訪問リハステーションの新設などを訴えた。


 浜村会長は、訪問リハステーションに関し、次のような内容の発言をしている。

  • 訪問リハ専従者の養成や訪問リハの運用システムの整備、訪問リハ提供拠点の整備によって、「退院、退所直後、あるいは生活機能の低下時に、適切かつ迅速に提供される訪問リハの普及を図る」
  • 単独型の訪問リハステーションの創設に意欲
  • 現在は周囲の理解も、われわれ自身の(訪問リハステーションの運営に向けた)体制も十分でない。09年の介護報酬の改定で提案するのは難しい」、09年の介護報酬改定では、まず「訪問リハ拡充を図る」
  • 「12年の診療報酬、介護報酬同時改定での、訪問リハステーションの制度創設を目指す」


 社会保障審議会介護給付費分科会(第53回)議事次第(9月18日)より、資料2−3 09年度改定に関する要望事項等について(日本リハビリテーション病院・施設協会)(PDF:400KB)、9〜10ページに訪問リハに関する要望項目がある。

 3.訪問リハビリテーションの拡充


1.病院・診療所・老健訪問看護ステーションなどの訪問リハ提供拠点の拡充

  • PT・OT・STによる訪問サービス(以下、訪問サービス)は、在宅生活の場で日常生活活動の自立と社会参加の向上を図る最良のサービス。
  • 特に、退院(退所)直後もしくは生活機能低下時の集中的な訪問は効果が高い。

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  • 介護保険における居宅サービスの中で、訪問サービスは最も量的基盤整備が遅れているサービス。

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  • 訪問サービス供給量の予測調査では、通所系サービス(通所リハと通所介護の合計)と訪問サービスの受給者の比率は10:1が妥当と考えられた。

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  • 訪問サービス提供拠点を拡大し、訪問サービス提供量の充実を図る必要がある。

2.提供システムの見直し

  • 訪問リハと訪問看護7は、それぞれの仕組み等の違いがあり、利用者やサービス提供側から、理解しにくいという指摘がある。(資料8)

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  • 訪問サービスの提供拠点であることを地域に明示するとともに、訪問サービスを提供する仕組みを統一し、分かりやすくすることが必要。
    • 在宅主治医(かかりつけ医)と訪問サービスの連携が必ずしも良好でないことから、連携方法の確立が課題。
    • 在宅主治医による「訪問リハ指示書」、在宅主治医に提出する「訪問リハ実施計画書」、「訪問リハ実施報告書」の義務づけ、連携のルールの確立が必要。
    • 訪問サービスを提供するPT・OT・STの養成強化のため、養成機関の整備、教育研修体制の充実が重要。


3.訪問リハと訪問看護7の報酬上の整合性を図る

  • 報酬単価は、医療保険と整合性をとる(20分1単位制に)


 訪問リハの仕組みは確かに難しい。以前、居住系施設入居者等に対する訪問リハビリテーション設定は無意味?というエントリーで、同様の問題について取り上げた。あらためて提示する。

 訪問リハビリテーションの場合、医療保険×介護保険、病院・診療所・老健×訪問看護ステーション、計4種類がある。表にすると下記のようになる。

病院・診療所・老健 訪問看護ステーション
医療保険 在宅訪問リハビリテーション指導管理 PT・OTの訪問看護
介護保険 訪問リハビリテーション 訪問看護71(30分未満)、訪問看護72(30分−1時間)


# 病院・診療所・老健
* 在宅訪問リハビリテーション指導管理(医療保険
 単価:1単位につき300点
 週6単位まで算定可能
 退院(所)後3月まで週12単位可


* 訪問リハビリテーション介護保険
 単価:500単位
 リハマネジメント加算: 20単位
 短期集中リハ実施加算: 退院(所)から1月 330単位 退院(所)から3月 200単位


# 訪問看護ステーション
* PT・OTの訪問看護医療保険
 単価:8,600−8,700円


* 訪問看護7(介護保険
 訪問看護71(30分未満) 単価:425単位
 訪問看護72(30分−1時間) 単価:830単位
 夜朝加算25% 深夜加算50%


 前述した介護保険優先の原則より、介護保険サービスを利用する場合、医療保険からの訪問リハビリテーション訪問看護ステーションを含む)は事実上利用できない。また、訪問看護より訪問リハビリテーションのニーズが強い場合には、介護保険における訪問看護ステーションからの訪問リハビリテーションも利用困難である。
 そもそも、病院・診療所・老健からの訪問リハビリテーションが普及せず、訪問看護7がもっぱらとなったのは、報酬設定の差が大きな要因となっている。2006年度介護報酬改定において、短期集中リハ実施加算が設けられたことにより、退院直後に関しては病院・診療所・老健からの訪問リハビリテーションが実施しやすくなった。訪問看護7から病院・診療所・老健からの訪問リハビリテーションへの誘導と、訪問リハビリテーションの短期・集中化が政策として推し進められた。


 浜村会長の講演を読んで、日本リハビリテーション病院・施設協会の戦略がおぼろげながら見えてきた。
 訪問リハが利用しやすいように仕組みを簡略化する。訪問リハサービス提供拠点拡充を図る。その上で、単独事業所として、訪問リハステーションを2012年度には開設する。


 介護報酬改定の中で、日本リハビリテーション病院・施設協会の要望がどこまで取り入れられるかはわからない。はっきりしていることは、2009年度介護報酬改定の目玉の一つとして、訪問リハ拡充の件が浮上していることだけである。