障害者自立支援法から障害者総合支援法へ看板書き換え
障害者自立支援法は、新たに障害者総合支援法と名前を変えて存続することになった。
政府が現行の障害者自立支援法に代わり、今国会に提出していた障害者総合支援法案は20日、参院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。重度訪問介護サービスの対象拡大など新たな施策を盛り込んだが、内閣府の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が出した骨格提言はことごとく採用されず、障害福祉サービス利用料の原則無料化も見送られた。
サービス利用料を原則1割負担(応益負担)とした自立支援法を巡っては各地で違憲訴訟が起こされ、民主党が同法廃止を約束して原告団と和解。だが廃止は実現せず、自己負担も残った。元原告団らは20日夜の記者会見で「骨格提言が全く反映されていない。万感の怒りを持って抗議する」と非難し「政府の法的責任を徹底的に追及する」と再提訴も辞さない姿勢を示した。
http://mainichi.jp/select/news/20120621k0000m010078000c.html
障害者総合支援法の内容は、障害者総合支援法が施行されました |厚生労働省にある。確かに内容に関する説明を見ても、法律の根幹部分は全く変更されていない。「障害程度区分」は「障害支援区分」に名前が代わっただけである。応益負担に至っては手をつけられていない。
障害者福祉サービス利用の仕組みは、従来の措置制度から、2003年に障害者支援費制度へ代わった。その後、2006年障害者自立支援法が交付された時、負担増問題などに関して、障害者団体から強い批判を浴びた。今回の障害者総合支援法への変更は、障害者自立支援法廃止を公約した民主党政権の挫折でもある。
もともと介護保険と同じように、障害程度による上限設定と応益負担の2つのしかけを利用し、障害者サービスに対する公的負担を抑制したいという思惑が厚労省にあった。消費税増税などの重要法案の片隅で、全く報道もされず、世論も盛り上がらないことを良いことに、厚労省は看板を書き換えてしまった。
法案施行まであとわずかしかない。具体的にどのような部分が改善されたのか、それとも弊害が増してしまうのか、リハビリテーション関係者として注視しなければならない課題である。