一般病棟の長期療養についての検討

 中央社会保険医療協議会 総会 (第208回) 議事次第 平成23年11月25日(金)にある医療提供体制(その1:入院医療/高度急性期・一般急性期、亜急性期等、長期療養、有床診療所、地域特性)に目を通した。本資料を見ると、医療機関の機能分化を診療報酬改定を期に強力に推進しようとしている厚労省の意図が明瞭となっている。


 いくつか論点があるが、中小病院に多大な影響を与えると予測される、一般病棟の長期療養について(90〜111ページ)をまずとりあげる。


 一般病棟に90日を超えて入院すると、特定入院基本料という低額の診療報酬となる。しかし、一定の条件を満たすと特定除外患者という扱いになり、診療報酬の減額はない。さらに、平均在院日数のカウントからも除外される。特定除外患者は90日超え患者の約95%を占めている。
 一般病棟(13:1,15:1)の在院日数構成をみると、90日超え患者が2割前後いることがデータとして示されている。医療区分で比較しても療養病棟と大差がない。一方、特定除外患者では、療養病棟入院患者と比し検査施行件数が多く、結果として1ヶ月当りレセプト請求点数が57.8〜65.0万円と割高となっている。
 以上のような仕組みがあるため、一般病棟に長期療養患者が多数いると厚労省は考え、次のような提案をしている。


# パターン1

  • 長期療養患者が比較的多い一般病棟については、将来的には、長期療養病棟へ移行することが現実的ではないか。
  • その観点からは、24年改定においては、13対1 病棟と15対1 病棟について、90日を超えて入院する患者を対象として、療養病棟入院基本料と同じ報酬体系(医療区分及び ADL区分を用いた包括評価)を導入することとしてはどうか。


# パターン2

  • 長期療養患者が比較的少ない一般病棟については、将来的には、急性期・亜急性期病棟へ移行することが現実的ではないか。
  • その観点から、24年改定においては、13対1 病棟と15対1 病棟について、90日を超えて入院する患者を対象として、平均在院日数の計算対象とすることとしてはどうか。


 パターン1になるか2になるかは、長期療養患者数で決まるようだが、その区切りをどこに置くかは提示されていない。パターン1においては患者層が、パターン2においては在院日数管理が問題となる。
 特定入院基本料における特定除外項目と療養病棟の医療区分との間にはいくつかの違いがある。前者にあるが後者の医療区分2、3にない項目の代表がリハビリテーション施行条件である。

 パターン1では、事実上、一般病棟では90日を超えてリハビリテーションを施行できないという事態が生じる。また、重度の意識障害者という項目が前者にはあるが、後者にはない。重症脳卒中患者など医学的合併症の問題があり、一般病棟にとどまっている患者の行き場がなくなるのではないかという危惧がある。


 今回の提案は、一般病棟でも看護師数が少ない13:1、15:1のみが対象となっている。しかし、7:1および10:1看護でも同様の問題は存在している。一般病棟での医療を急性期に特化するという流れについていけない医療機関は、亜急性期・回復期ないし療養病棟のいずれかを選択せざるをえないことになる。