医療提供が困難な地域等における病院の課題と論点

 引き続き、中央社会保険医療協議会 総会 (第208回) 議事次第 平成23年11月25日(金)にある医療提供体制(その1:入院医療/高度急性期・一般急性期、亜急性期等、長期療養、有床診療所、地域特性)より、「V.地域特性について」(140〜151ページ)をとりあげる。

医療提供が困難な地域の考え方について(案)


地域に密着した医療提供を行う医療提供が困難な地域等において、下記の観点から地域の条件を検討してはどうか
1)自己完結した医療を提供している地域
2)医療従事者の確保等が困難な地域
3)医療機関が少ない地域
 * ただし特定機能病院等をのぞく



1)2)3)を満たす43医療圏
全国の医療圏のうち 12%
全国の病院・病床のうち 7%
全国の人口のうち 6%
全国の面積のうち 21%


 医療提供が困難な地域等においては、医療が自己完結型にならざるをえず、より高い診療報酬算定も困難であることを認めている。北海道・東北・北陸・山陰などの過疎地域、九州・沖縄、東京などの離島地域が含まれると予測する。今回の震災で大きな被害を受けた岩手・宮城・福島沿岸部は、まさにこの地域に該当する。
 最終151ページに簡潔なまとめがある。

医療提供が困難な地域等における病院の課題と論点

  • 医療提供が困難な地域等において、地域に密着した病床での対応を行うために、地域の医療機関が、一般急性期医療、亜急性期医療等を一体として提供する場合がある。
  • 患者流出率が低い2次医療圏では、自己完結型の医療を提供しているが、その中には医療提供体制が十分ではないために、医療機関の機能分化を進めることが困難な地域がある。
  • また、医療資源の限られた地域では、13:1から15:1の看護配置の病院の割合が高くなる傾向があるが、これらの地域では、他の地域と比べ、15:1看護配置病院で様々な状態の患者を診療している。
  • 加えて、専従・専任要件のある加算について、人口密度の高い地域と低い地域で届出施設数の割合に差がある。


論点

  • 自己完結型の医療を行っているが、医療提供体制が十分ではなく医療機関の機能分化を進めることが困難である地域や離島にある病院において、一般急性期医療、亜急性期医療等を一体として提供することについて、診療報酬上の評価を行うことをどう考えるか。
  • その際、自己完結型の医療提供しており、医療従事者の確保等が困難、かつ医療機関が少ない地域を指定することについて、どう考えるか。
  • 評価方法として、病棟全体で看護要員の要件を満たすことは困難なことを踏まえ、各病棟毎の看護要件とすること、亜急性期入院医療管理料の算定可能病床数を増やすこと等について、どう考えるか。
  • また、医療資源の限られた地域では、必要な医療を提供していても専従要件を満たすことが困難なことから、専従要件のある一部の医療について、当該医療を実施していない時間帯において、他の医療に従事することを認めること等について、どのように考えるか。


 医療・介護サービスの需要と供給(必要ベッド数)の見込み(6ページ)に気になる表現がある。

平成37年度(2025年年度)改革シナリオ 地域一般病床を創設

  • 地域一般病床:24万床 平均稼働率77%程度、平均在院日数19〜20日程度

(注2)「地域一般病床」は、高度急性期の1/6と一般急性期及び亜急性期等の1/4で構成し、新規入退院が若干減少し平均在院日数が若干長めとなるものと、仮定。ここでは、地域一般病床は、概ね人口1万人未満の自治体に暮らす者(今後250~300万人程度で推移)100人当たり1床程度の整備量を仮定。


 明示はされていないが、この地域一般病床を過疎地域の医療機関の類型として想定しているのではないかと推測する。