回復期リハビリテーション病棟成果主義に関する質疑応答

 社民党阿部知子議員が、衆議院厚生労働委員会リハビリテーション医療の制限に関し、質問を行った。http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm厚生労働委員会の中にある4月9日(第16号)と4月23日(第19号)に質疑応答の様子が記載されている。
 回復期リハビリテーション病棟における成果主義導入に関し、次のような質疑応答がされた。


# 4月9日(第16号)

○阿部委員
 二〇〇八年の改正では、お手元にございますように、回復期リハビリテーション病棟の質の評価という視点が加わりました。医療において、もちろん質は何より大事です。しかし、その質の評価が外枠として与えられることの可否は、私は問題が別だと思います。


 この簡単な改定前と改定後をお示しした図ですが、改定前は、要員、人を何人そろえておるかで報酬が決まっておりました。ここに、もちろん、それを担うスタッフは、例えば医師を専任にするとか、これはとても大事なことですが、プラス、ここの下の方に書いてあります、新規入院の患者さんのうち一割五分以上が重症患者さんであることとか、とりわけ二の在宅復帰率六割以上であること、この病棟に入院されておうちに帰れる方の率が六割である、そうすると、その病院はうまく成果を上げたから報酬を上げましょうという考え方が導入されました。


 この考え方についてお伺いしたいと思います。お医者様でもあられましたし、足立政務官にお願いいたします。在宅復帰を規定する因子、在宅復帰が可能になるとはどのような因子がございますでしょうか、これについてお願いします。


○足立大臣政務官 今おっしゃられたことに対するそこまでの通告という形ではいただいておりませんので、一対一の答弁になるかどうかちょっとわかりませんけれども、今のお話をお聞きしていて、ちょっと訂正していただきたいなと思うのは、リハビリテーションがなくなるという表現をされておりましたが、これは医療保険リハビリテーション介護保険リハビリテーションがあるわけです。そもそもの議論は、これは全面的に私が賛成というわけではありませんけれども、やはり当時の流れとして、急性期、亜急性期のリハビリテーションをもっとしっかりすべきであるということ、それから、長期にわたって余り効果が明らかでない医療行為も行われている、そして医療保険介護保険でのリハビリテーションの連携がうまくいっていないという問題意識があったんだと思います。


 そこで、今の在宅復帰率ですが、この因子ということについて申し上げます。


 やはり、在宅にいてもリハビリテーションあるいは医療、介護が受けられるという条件、そして、在宅において、周りに、例えば医療や介護の専門家だけではなく、周りでケアしてくださる方々がいらっしゃるというようなことがないと、なかなか在宅復帰というのは難しい、それが因子の一つだろうとまずは思います。


 しかし、今の委員の六〇%ということを見ますと、この資料で見ますと、一と二が書いてあります。一の場合の在宅復帰率は平均七五・七%、二の場合の在宅復帰率は七三・三%になっております。私は、この数値だけを判断させていただくと、現場はかなり頑張っておられるな、そのように感じております。


○阿部委員 そういうふうな言い方がおかしいんだと私は思うんですね。因子についてはちゃんと通告をいたしました、昨夜。


 今、足立さんがおっしゃった二つの因子も大事です。


 例えば、在宅に帰られて、そこでもいろいろな在宅リハとかあるいは通所リハとか受けられるかどうかは大事な因子です。それから、やはりおひとり暮らしでは、そうはいってもなかなか在宅に向かうことができないでしょう。


 足立さんがおっしゃった、今、それはリハビリをする医療機関の質と量の評価にかかわる部分だと思うのですが、十分な人材を備えて、いい質のものをやれば、おのおの七〇%台くらいいく、これもいいことです。別に私はそれに反論しているわけではありません。


 しかし、リハビリが在宅復帰率という一つの指標で評価されるとき、では御家族のいない方が病院に受け入れられづらくなるのではないか。だって、帰しづらいですもの。それから、患者さんや家族の経済力だってあるんですよ。訪問リハを受ける、通所リハを受ける。先ほど来、年金のお話もありましたが、非常につましい暮らしの中で、今、介護保険だって十分に使い切れていないんです。使いたくても、手元不如意だということもあります。おひとり暮らしや、患者さんあるいは家族の経済力や、あるいはその地域の地域力というのもあるかもしれません。地域全体で、例えば移動サービスができるかどうかとか、そういうこともかかってきますでしょう。それプラス患者自身の重症度


 足立先生がおっしゃったのは、二番目の、どんなスタッフを備えてどのくらいのアウトプットを出しているかというところですね。それは事実だと思います。しかし、少なくとも今私の述べた五つの因子のうちの一つでしかない。他の因子が患者さんに負担をかけはすまいかということが最も重要なんですね。


 足立政務官に伺いますが、例えば、老人保健施設に帰ることは在宅復帰とみなされるんですか。


○足立大臣政務官 みなされます。


○阿部委員 では、温泉のあるリハビリテーション病院に移りたいといった場合はどうですか。温泉のある、これから法案の審議にかかりますでしょうが、厚生年金病院等々のリハに移りたいといった場合はどうですか。


○足立大臣政務官 今のは、回復期リハビリテーション病院、病棟という意味ではないと思いますが、それはもちろん入らないですね。回復期リハビリテーション病院あるいは病棟であれば、それは在宅には入らないですね。


 それから今、保養ホーム、厚生年金病院の話で、一年のうちに何回か滞在しながらリハビリテーションを受けるという意味であれば、それはみなされると思います。(阿部委員「みなされる」と呼ぶ)はい。もちろん、在宅からですから。


○阿部委員 今現場で起こっていることはそうではありませんで、とにかく一回おうちに帰ってくれ、家に、自宅に。これが在宅復帰率とみなされているんですね。引き続いてそうしたリハビリを受けたくても、とりあえず病院側としては家に帰ってもらわないことには、これが達成されないということになっております。これについても、もう少し現場を調べていただきたい。


 それはたった一つの例です。でも、さっき言った、もともと、帰るといったってひとり暮らしじゃどうしようもないよね、介護のキーパーソンもいなければ在宅復帰だってできないよねと。いろいろな因子があるものをここの指標に乗っけて、それをアウトプット評価にすることは私は間違っていると思います。


 先ほど長妻大臣は、現状についてさらに聞いてくださるとおっしゃいました。患者さんの声、今脳梗塞等々で、次にどこに行こうかという方は大変多うございます。ぜひ厚生労働省として、そういう患者さんの声をお聞きいただければと思います。


 阿部知子議員のいう在宅復帰率に関する5つの条件とは、次のことを指しているらしい。


 阿部知子議員は、足立政務官の答弁は上記5つの因子のうち、最初の2つしか指摘していないと批判している。この中で最も重要な因子は、家族介護力と患者自身の重症度であると私は判断している。なお、困窮世帯では、介護施設の入所費が支払えず、やむをえず在宅復帰を選択する場合があり、結果として在宅復帰率を引き上げるという皮肉な結果が導かれることがある。
 阿部知子議員の質問は概ね的を得ていたものであったが、老健施設に関する質問では、足立政務官が誤った回答をしたこともあり、迷走してしまっている。老健施設は在宅復帰率には含まれない。このことに関して、4月23日に次のような再回答と再質問がなされた。


# 4月23日(第19号)

○足立大臣政務官 発言の機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。


 四月九日の衆議院厚生労働委員会において、阿部知子議員からいただいた、回復期リハビリテーション病棟の在宅復帰率に関する「老人保健施設に帰ることは在宅復帰とみなされるんですか。」という御質問に対して、私は「みなされます。」と回答いたしました。この発言は事実と異なったものであり、訂正をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


 回復期リハビリテーション病棟からの在宅復帰とみなされるものは、介護老人保健施設を除く介護施設や自宅への復帰であり、医療機関や介護老人保健施設は含まれておりません。それは、介護老人保健施設は、在宅復帰を目指してリハビリテーションを行う施設であり、回復期リハビリテーション病棟と同様の趣旨の施設であることから、在宅復帰とみなされないこととなっております。


 このため、私は「みなされます。」という発言を訂正し、医療機関と同様とみなされます、つまり、介護老人保健施設に帰ることは在宅復帰とみなされませんと訂正させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。


 ありがとうございます。


○藤村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。


○阿部委員 社会民主党阿部知子です。


 ただいまの足立政務官の訂正の御発言は確かに伺いましたが、それを踏まえて再質問をさせていただきます。


 去る四月の二十一日、私が先回この質問に関連して取り上げた多田富雄先生がお亡くなりになられました。七十六歳でありました。


 ちょうど二〇〇六年の老人保健法の改正による、いわゆる疾患別の日数制限、リハビリの打ち切りに対して、心から怒りの念を持って、朝日の論壇等々に投稿され、当時野党であった私ども社民党も、また現政権の厚生労働を担当しておられる長妻大臣も、この件を繰り返し取り上げてまいりました。


 果たして、政権がかわって、本当に多田先生が御指摘された点にどのように新政権が向き合っているか。私は、大変に残念ながら、今のお話も含めて、多田先生にお伝えする言葉がありません。


 私が四月九日に質問したことは人づてに聞いてくださっておったようで、四月十一日まではお元気に活動もしておられましたし、いろいろな意味でこの政権に期待していただいて、そしてなおかつ、まだ私どもの政権がかなえられていないテーマだと思います。


 多田先生の御指摘は、簡単に申しますと四つございました。


 そもそも、リハビリとは何か。リハビリテート、もう一回生き直すという意味であって、単に機能の回復ということだけがその目的ではないということ。


 疾患別に日数制限を設けるということは、それまで医師の裁量権であった、例えば、どんな慢性期の疾患にも、糖尿病だから何カ月で治療終わりとかはなかったわけです。リハビリもまた、医師たちが一生懸命考え、その方に最適なものを設けてきた。日数制限とは、そうした医師の本当に患者さんに向き合うその思いを阻害するものではないか。


 そして、二〇〇八年段階で取り入れられた、今足立政務官の御指摘の、何%の方がどこに帰ったら、それをもって成果とみなして、それによる診療報酬を変えていく、成果主義と申しますが、これについても御批判を抱かれておりました。


 四点目は、今の大変に高齢化が進んだ社会で、脳血管障害等々を初めとして、いわゆる身体に御不自由を抱えた方のリハビリや介護に関する学会であるリハビリテーション学会が、もっと社会的に発言し、時代を正しい、国民の望む方向に積極的に導いてほしいという四点でありました。


 私は、いずれの課題もまだ道半ばと思いますし、その中で、今、足立政務官にいただいたお答えは、私は、四月九日、足立政務官が、老人保健施設は、そこにお帰りになった、そこに入院された場合にはいわゆる在宅復帰とみなされますという方が自然な感情なんだと思います。


 なぜならば、お手元の資料三ページをおめくりいただきたいと思います。


 ここには老人保健施設とは何かということが、これは老人保健施設のホームページからとらせていただきました。これは社団法人宮崎県老人保健施設協会のホームページですが、老人保健施設というものの五つの機能が述べられています。


 今、いろいろな施設がございますが、いわゆる大体終身でお入りになる特別養護、介護老人ホームと違って、老人保健施設は、中間施設、ある期間を定めて、そして在宅に向けた復帰施設であります。簡単に言えば、包括的ケアサービスを提供し、リハビリテーション施設であり、在宅復帰施設であり、在宅生活支援施設であり、地域に根差した施設である。


 この老人保健施設の誕生の歴史を振り返れば、こういう施設を設けることで、在宅復帰により取り組みやすいよう、在宅率を高めるためのものでありました。ところが、成果主義と呼ばれる、回復期病棟の在宅復帰率を何%と定めていくときに、なぜこれが除外されるのか。


 この「リハビリテーション施設」と書いてあるところの中で、ここには、「集中的な維持期リハビリテーションを行います。」と書いてございます。私ども、医療の中では、急性期リハ、回復期リハ、維持期のリハ、この維持期のリハを行いながら在宅に向けるための施設であります。


 ただいまの御説明を伺いますと、回復期リハビリテーションに類するもの、回復期リハビリテーションと同様の趣旨の施設であると。このあいまいな、同様の趣旨の施設と言うことによって曲学阿世になってしまったと私は思います。これが厚生労働省のお考えでしょうか。これから老人保健施設をふやしていこうというやさき、私は、ここは言葉を、回復期リハと維持期リハをあいまいにして、そして逆に言うと、自分たちのつくった成果主義を守るためにそのような御答弁ではなかったのかなと邪推してしまいます。


 政務官に伺います。


 私たちのこれまでの概念の中では、老人保健施設は在宅復帰に向けた維持期リハであり、いわゆる回復期リハに類するものではありませんでしょう。であれば、私は、もともとこんな、何%が在宅復帰なんていう基準を設けて医療を成果主義にすることはおかしいと思いますが、せめて、そのおかしくやったことをまた、そこを覆い隠すためにこんな間違った概念整理をして老人保健施設の位置をおとしめるべきではないとあえて言えば思います。


 これをも含めて在宅復帰とみなされたらどうですか。在宅復帰に向かわしめる施設なんですよ。私は、過ちはこの政権で正していただきたい、根本も正していただきたい。でも、当面、今の足立政務官は、四月九日は素朴な気持ちでというか、普通に問われてお答えだったんだと私は思います。であれば、今の、みなされませんというお答えは、逆に、もう一度吟味していただきたい、考え直していただきたい、全体のリハビリ計画なんですから。いかがでしょうか。



○足立大臣政務官 まず、多田富雄先生は私にとっても医学上の大先輩でございまして、御冥福をお祈りいたします。


 今の阿部議員の問題意識は私も共有しておりまして、ですからこそ、二年後の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて、その医療と介護の中間的という、今、リハビリテーションを例に挙げて御提示されましたけれども、私は、そこは見直す重要な課題である、そのようにまずは取り上げております。そのことで政府内にも会議体を形成し、広く意見を集めたい、そのように考えております。


 まず、現状を委員の皆さんに正確にわかっていただく必要があると思いまして、現状を申し上げます。


 在宅復帰率を置くことがいいのかどうかということでございますが、在宅復帰に含まれる施設をまず申し上げます。自宅、それから特別養護老人ホーム高齢者専用賃貸住宅、有料老人ホーム、軽費老人ホーム及び養護老人ホーム、そして認知症対応型グループホームなど。在宅復帰に含まれない施設としては、医療機関、そして今の介護老人保健施設老健というふうになっているわけでございます。


 在宅復帰を目指す維持期リハビリテーションという概念をどのようにとらえるか。


 在宅復帰率ということにつきましては、回復期リハビリテーション病棟一と二で、特に一の方がその復帰率を要件としておるわけでございます。現状は、これは六〇%となっておりますが、統計によりますと七五・七%が在宅復帰率ということになっていますが、委員の御指摘は、そのことが回復期リハビリテーション病棟からの追い出しにもつながっているのではないか、そして一連の形となっていないのではないかという指摘だと思います。


 私は、医療を提供する施設、そして住まいということを重点に置いた施設ということをもう一度考え直さなければいけない、その中で、リハビリテーションの段階的なものはどのようにとらえられていくべきなのかということをしっかり議論すべきであるということを考えておりまして、そのように検討していきたいと思います。


○阿部委員 後期高齢者医療制度にしても、このリハビリの問題にしても、現実に、そこで生きている人間の一刻一刻は、検討している間にも奪われていくということであります。私は、これはいつも指摘するところであります。


 そして、今、足立政務官がるるお述べいただきましたが、実は、事の背景は簡単で、医療リハじゃなくて介護リハを使ってくれという概念があるだけなのです。そこで勝手に、人間の実態じゃなくて概念から切り分けて、医療リハを使う施設あるいは医療系施設にはもう帰さない、そこはパスして、高専賃等、介護リハでいくところに行こうと。


 しかし、この介護リハでやれという考え方にも、実はこれも、二〇〇六年お亡くなりになりましたが、国際的な社会学者の鶴見和子さんが大変に厳しい御指摘をしておられます。介護リハを使えということは、介護メニューの中でリハのそこを使うとほかのメニューは減るわけです。それは当然、本当に在宅でやろうと思うときに、介護リハのいわゆる実際に提供されるものも医療リハとは異なっている。あえて言えば、御老人たちに、もうあなたはどう見てもそれ以上よくならないから、あきらめなさいという死の通告ではないかと。実際に、鶴見さんはこのことを書いて数カ月でお亡くなりになったわけです。


 私どもが国際的に誇るこうした多田富雄さんにしろ鶴見和子さんにしろ、この国で老いるということをどう考えておられるでしょうか。


 この冒頭にお示ししたのは、高齢者医療制度改革会議の中で述べられている近藤先生の御意見で、せんだっても御紹介しました。今やらねばならない私たちの課題は、御高齢期の医療、どうあるべきか、医療像、そしてリハビリの問題であります。時代をかけた大きなテーマなんだと思います。


 私は、先ほどのお答えでも、在宅復帰率が何十%であるから云々、ここはもちろん、みんな病院側は努力をいたします。でも、その前提には、重い人を一割五分以上入れるけれども、在宅復帰させるために、なるべく一割五分近くでへばりつけてしまう。もう出口じゃなくて入り口規制が行われるわけです。そうなると、一体、リハビリを本来必要とする人は、そして、あればそれからリハビリテート、生き直すことができる人はどうなってしまうのか。


 入院基本料の設定は一割五分というところの入り口、出口は何十%、六〇でも七〇でも、それは勝手に決めたことですから。しかし、その体系全体の中でリハビリ医療を位置づけ直すということが、せめて多田さんや鶴見さんへの手向けではないかと思います。


 長妻大臣に伺います。


 私が問題意識とするところは、大臣と本当に同じだと思います。二〇〇六年来の厚生労働省の方針は明らかに間違っております。この国を幸せにしない。私は、骨太な見直しをもう一度お願いしたいと思いますが、御答弁を求めます。


○長妻国務大臣 私もリハビリの重要性というのはよく認識しているつもりでございます。


 野党時代に、この問題について、当時の政府が、ある意味ではリハビリを続けても回復の見込みがない場合は打ち切るような、そういう発想を持っているという懸念を持ちまして、当然、維持期のリハビリというのも重要なわけでありまして、維持をする目的のリハビリであっても、それを打ち切るとさらに悪化をしてしまうということは言うまでもないわけでございますので、これについても問題意識を持って取り組んできたつもりであります。


 そういう野党の意見もあったのか、政府としては、当時、従来の機械的な、日数にかんがみてリハビリを切ってしまうということじゃなくて、改善が期待できるとお医者さんが判断する場合はそのまま日数を延ばす、そして状態の維持を目的とするようなことの場合でも一定の評価をするというような姿勢になったということであります。


 これは、今月、四月の九日、阿部委員の質問にも私答えましたけれども、今そういう措置がなされていますが、平成二十年度から始まったこの措置が具体的に今どういう状況になっているのか、患者さんに不都合な状況が出ているのか否かということの現状把握をきちっとしていこうということで、今調査の指示をしておりまして、それを公表して、その中身について問題があれば是正をしていく、こういうような姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。


 阿部知子議員は、介護老人保健施設も回復期リハビリテーション病棟の在宅復帰率に含めることを求めている。それに対し、足立政務官長妻厚労相は、2年後の医療保険介護保険同時改定に向けて見直しをすると回答している。亜急性期病床では、回復期リハビリテーション病棟と違い、老健施設も在宅復帰率に含まれている。両者の整合性をつける意味でも見直しは当然である。
 しかし、在宅復帰要件の見直しとあわせ、在宅復帰率を現行の6割から7〜8割に引き上げる、回復期リハビリテーション病棟入院料を低い基準に統一するなど、小手先の見直しがなされるおそれがある。医療費全体の抜本的引き上げがなされなければ、単なるパイの奪い合いとなってしまう。
 介護保険リハビリテーションについても同様である。要介護度ごとに区分支給限度額という上限設定がある。このため、介護保険では、リハビリテーション提供が他のサービスと競合し、利用できなくなっている。介護保険サービス中、医学的必要があって行うリハビリテーションは、区分支給限度額からはずすことを検討して欲しい。通所リハビリテーションや訪問リハビリテーション医療保険に戻す、という意見も根強くある。少なくとも、2007年度に厚労省が一片の通達で強行した医療保険介護保険におけるリハビリテーション併用禁止規定は即刻撤回されるべきである。