平成30年診療報酬改定について(諮問)
本日行われた中医協で、平成30年診療報酬改定について(諮問)が明らかになった。資料は下記にある。
諮問そのものに対してではなく、平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)について、意見の募集が行われる。
平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)を読むと、今回の改定の全体像がおぼろげながらわかる。このなかで、回復期リハビリテーション病棟を中心に、私が関心のある部分を抜き出してみた。
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
(1)〜(11) 略
(12) 回復期リハビリテーション病棟入院料について、入院医療の評価体系の再編・統合の方向性を踏まえ、以下のような見直しを行う。
1) リハビリテーションの提供による日常生活動作の改善(実績指数)等に応じた評価を一層推進する。
2) 実績指数の高い入院料について、栄養状態の評価や栄養管理に係る取組を要件とするとともに、入院栄養食事指導料の算定を可能とする。
3) 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。
(13) 10 対 1 入院基本料を算定する全ての医療機関や、一部の回復期リハビリテーション病棟入院料や療養病棟入院基本料を算定する医療機関についても、データ提出加算の算定を入院料の要件とする。そのため、現行の回復期リハビリテーション病棟入院料における重症度、医療・看護必要度に係る要件について、合理化の観点も含め整理する。また、未コード化傷病名等データの質についての評価を行う。
I-7 リハビリテーションにおける医療と介護の連携の推進
(1) 疾患別リハビリテーションについて、末梢神経損傷等の患者や回復期リハビリテーション病棟から退棟後3ヶ月以内の患者等を算定日数上限の除外対象に追加する。
(2) 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。(I-3 (12) 3) 再掲)
(3) 要介護被保険者等に対する維持期・生活期のリハビリテーションに係る疾患別リハビリテーション料を見直すとともに、算定が可能な期間を平成30年度末までとする。
(4) 維持期・生活期のリハビリテーションについて、介護のリハビリテーションとの併用に係る施設や人員の要件を緩和する。
(5) 医療機関と介護保険のリハビリテーション事業所で、リハビリテーション実施計画書を共有化できるよう、様式を見直すとともに、介護保険のリハビリテーションに移行する患者について、医療機関が介護保険のリハビリテーション事業所にリハビリテーション実施計画書を提供した場合の評価を新設する。
II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・ 充実
II-1-7 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進
(1)〜(4) 略
(5) 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者について、舌悪性腫瘍による舌切除等の後天的な器質変化に起因する音声・構音障害を有する患者を追加する。
III 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
III-2 業務の効率化・合理化
IV 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
IV-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(再掲)
(1)〜(11) 略
再掲という形で、同じ内容が繰り返し出されている。重複を避け、回復期リハビリテーション病棟などに関わる改定をごく簡単にまとめると、次のようになる。なお、見直すと記載されている場合には通常要件が厳しくなるので、( )内に言い換えた内容を記す。
- 在宅復帰率は、名称変更を含め見直す。(在宅復帰率要件は厳しくなる)
- 実績指数等に応じた評価を一層推進する。(実績指数等の要件は厳しくなる)
- 実績指数の高い入院料について、栄養状態の評価や栄養管理に係る取組を要件とするとともに、入院栄養食事指導料の算定を可能とする。(リハビリテーション栄養が推進される)
- 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。(専従リハビリテーション専門職は、退院後のフォローが一部可能となる)
- データ提出加算の算定を入院料の要件とする。(電子化が進み、ビッグデータとして扱いやすくする)
- 回復期リハビリテーション病棟入院料における重症度、医療・看護必要度に係る要件について、合理化の観点も含め整理する。(重症度要件が変更される)
- 疾患別リハビリテーションについて、末梢神経損傷等の患者や回復期リハビリテーション病棟から退棟後3ヶ月以内の患者等を算定日数上限の除外対象に追加する。(回復期リハビリテーション病棟退棟患者に対し、3ヶ月以内は疾患別リハ料を提供できる)
- 要介護被保険者等に対する維持期・生活期のリハビリテーションに係る疾患別リハビリテーション料を見直すとともに、算定が可能な期間を平成30年度末までとする。(維持期・生活期のリハビリテーション料は切り下げられたうえで、平成30年度末で打ち切られる)
- 維持期・生活期のリハビリテーションについて、介護のリハビリテーションとの併用に係る施設や人員の要件を緩和する。(介護保険とのリハビリテーション併用要件が緩和される)
- 医療機関と介護保険のリハビリテーション事業所で、リハビリテーション実施計画書を共有化できるよう、様式を見直すとともに、介護保険のリハビリテーションに移行する患者について、医療機関が介護保険のリハビリテーション事業所にリハビリテーション実施計画書を提供した場合の評価を新設する。(リハビリテーション実施計画書様式を変更し、医療保険と介護保険とで共有できるようにする)