リハビリテーション関係診療報酬改定の議論開始

 本日の中医協で、リハビリテーション関係診療報酬改定の議論が行われた。中央社会保険医療協議会 総会(第262回) 議事次第内にある、個別事項(その3:リハビリテーション)について、総−1(PDF:2,479KB)が該当資料である。改定内容は「論点」に記載されているので、その部分のみ抜粋する。ページ数は論点が記載されている部分である。なお、「〜についてどのように考えるか。」という表現は、「〜を行うことにするので、意見があるなら早めに出しなさい。」と読み替えると、厚労省の意図がわかる。


1.早期リハビリテーションの充実
 1)急性期病棟(7対1病棟、10対1病棟)における入院中のADL低下の防止(7、18ページ)

  • ADLの低下防止を目的として、リハビリテーションの設備と人材を有する医療機関において、循環器系の疾患、新生物、消化器系の疾患等の患者が多く、65歳以上の患者が○割以上の急性期病棟(7対1、10対1病棟)に理学療法士等のリハビリテーションの専門職を配置した場合の評価についてどのように考えるか。
  • また、リハビリテーションの専門職を配置した病棟(7対1、10対1病棟)では、例えば「入院時に比べ退院時にADLが 低下した者の割合が○%以下」等の具体的数値目標を評価の要件とすることについて、どのように考えるか。


 2)外来のリハビリテーションにおける初期加算、早期加算(20、28ページ)

  • 初期加算・早期加算について、地域連携診療計画管理料の対象となっている大腿骨頚部骨折及び脳卒中に限り、退院後、外来でも当該加算を算定可能とし(ただし、算定日数は入院と外来での算定日数を通算したものとする)、入院と外来のリハビリテーションが別の医療機関で行われる場合は、外来リハビリテーションを提供する医療機関へ早期に紹介した場合を評価することについてどのように考えるか。


 3)運動器リハビリテーションの外来への早期移行(30、36ページ)


2.回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し(38、50ページ)


3.廃用症候群の評価の見直し(52、64ページ)


4.維持期リハビリテーションについて(66、83ページ)

  • 維持期リハビリテーションについては、医療と介護の役割分担の観点から、要介護被保険者等の医療から介護への移行を進めているところであるが、維持期リハビリテーション医療保険で受けている者の数は増加しており、医療保険での維持期リハビリテーションに一定のニーズが未だあることを踏まえると、経過措置を延長する必要があるのではないか。
  • 介護保険におけるリハビリテーションへの移行を促すため、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)等との連携や事業所への紹介等を評価することについてどのように考えるか。


 早期リハビリテーションは、明らかにプラス改定である。急性期病棟におけるリハビリテーション専門職の配置が今後加速する。また、急性期病棟からの早期退院を促すために、外来での継続したリハビリテーションも評価される。運動器リハビリテーションIが外来でも算定可能となるということは、整形外科学会などのロビー活動の成果だと言える。
 回復期リハビリテーション病棟入院料1に関しては、一層要件が厳しくなる。医師および社会福祉士の専従要件、休日リハビリテーション提供の義務化が行われる。
 廃用症候群に関しては、規制が強化される。既にレセプト審査の分野では、廃用症候群が目の敵にされ始めている。意識的に他の疾患別リハビリテーション料ではなく廃用症候群で請求している医療機関は方針転向が迫られる。
 維持期リハビリテーションが継続される方向性が打ち出されたことを朗報である。ただ、介護分野でのリハビリテーション強化は今後も求められる。医療保険介護保険をどのように使い分けるか、工夫していかなければならない。