回復期リハビリテーション病棟入院料2から1への昇格

 2008年度診療報酬改定の解釈で疑義が噴出している。CBニュース、全日病の説明会で、厚労省が回答より、回復期リハビリテーション病棟に関係する部分を抜粋する。

■ 回復期リハビリテーション病棟入院料
 重症患者の受け入れや在宅復帰率、回復度合いなどで点数が異なる「回復期リハビリテーション病棟入院料」については、4月から「同入院料2」でスタートし、実績次第で「同入院料1」に昇格する仕組みであることを改めて確認した。


 中央社会保険医療協議会総会平成20年2月13日資料では、次のように記載されていた。

 平成20年3月31日時点で、現行の回復期リハビリテーション料を算定している病棟においては、平成20年9月30日までの間は、現行の点数を算定する。また、平成20年9月30日以前であっても、算定要件を満たしている施設については、回復期リハビリテーション病棟入院料1及び重症者回復病棟加算を算定することができる。


 上記記載からも分かるように、平成20年4月1日以降に新たに回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する病棟は、「同入院料2」から始まる。そして、6ヶ月間の実績をもとに、「同入院料1」を算定できるようになる。「昇格」という言葉で表現されているところなど、Jリーグと同じである。


 回復期リハビリテーション病棟新規参入における「勝ち組」は、急性期医療機関と密接な連携をとれるところだろう。例えば、整形外科病院や脳卒中急性期病院が、回復期リハビリテーション病棟を作った場合を考える。発症ないし手術後2週間程度で、患者を回復期リハビリテーション病棟に移動させた場合、重症患者15%以上は容易にクリアできる。改善しそうな患者をよりすぐれば、在宅復帰率も60%を超えることになり、さらに、重症者回復加算もとれる。別に回復期リハビリテーション病棟の質が高くなくても良い。改善しそうな患者を集めるというマネジメントが上手であれば良い。


 一方、医療療養病棟や介護療養病棟から転換したところで、改善しそうな患者を集めることが難しい医療機関では、当初から回復期リハビリテーション病棟入院料2で満足するところも出てくるだろう。医師専従要件が緩和されたことも追い風となる。選別の結果、行き場がなくなった重症者が増える。そのような層をターゲットにし、回復期リハビリテーション病棟に90〜180日程度入院させた後、系列の老健施設に移動させる。


 回復期リハビリテーションの質の評価という厚労省のお題目とは横目に、生き残りをかけた医療機関再編が進む。そこには、医療の質とは全く無縁の世界が繰り広げられるだけである。