平成26年度診療報酬改定に関する通知に関するメモ

 平成26年度診療報酬改定についての情報が更新され、改定の全容がほぼ明らかになった。平成26年度診療報酬改定説明会(平成26年3月5日開催)資料等についてに文書がまとめられている。なかでも、平成26年度診療報酬改定説明(医科・本体) と、平成26年度診療報酬改定関係資料 III-1 通知 が重要な資料である。前者が174ページ、後者が1,573ページの分量があり、かなり重い。この2つの資料をざっと読んで気づいたことをメモする。なお、かなり正確性には欠けることになるので、後日、ひとつひとつの話題を精査することにする。


# 医療機関の機能分化・強化と連携推進のため、在宅復帰率の網の目が張りめぐらされる
 病床の機能分化促進のため、7対1看護の要件が厳格化された。重症度、医療・看護必要度要件の変更と並んで、自宅等に退院した患者の割合が75%以上という要件が設定された。在宅復帰率要件は、これまで回復期リハビリテーション病棟などで問題となっていたが、急性期病棟や新設された地域包括ケア病棟でも使用されるようになった。今後、急性期医療機関は、在院日数管理(病床回転率)だけでなく、退院先管理を厳密に行なうようになる。各医療機関は、それぞれの在宅復帰率維持を目指し、お互いに牽制しあうことになる。


# 急性期病棟におけるADL 維持向上等体制加算と地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)は、疾患別リハビリテーション料を算定しない患者が一定程度いる条件で成り立つ
 ADL 維持向上等体制加算を算定している急性期病棟でも、疾患別リハビリテーション料等は算定できる。しかし、その場合ADL 維持向上等体制加算は算定できない。すなわち、リハビリテーションを集中的に行なう必要がない患者が一定程度おり、その患者のADL評価や安全管理を専従療法士が行なうことが想定されている。脳卒中病棟や整形外科病棟では、メリットがない。高齢者が多い呼吸器病棟や循環器病棟が主な対象となる。
 一方、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)では、専従療法士配置が義務づけられ、リハビリテーションを施行する患者には、1日1人平均2単位以上のリハビリテーション施行が必要となる。包括医療であり、積極的なリハビリテーション施行が必要な患者が多ければ、持ち出しが増えることになる。なお、許可病床200床未満の医療機関で算定できる病室単位の地域包括ケア入院医療管理料では、専従療法士はADL 維持向上等体制加算の専従を兼ねることができる。したがって、この専従療法士は疾患別リハビリテーション料を算定できる一般病床患者を優先する傾向が生じかねない。
 これまで、基本的にリハビリテーション料は出来高払いだったが、今回、包括性の考え方が導入された。一歩使い方を誤ると、リハビリテーション医療から遠ざけられる患者が多数生じることになる。諸刃の剣ともいえる改定である。


# 廃用症候群でのリハビリテーション料算定は今後困難となる
 廃用症候群に対するリハビリテーション料は大幅に引き下げられ、かつ、「心大血管疾患リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料、 がん患者リハビリテーション料の対象となる患者を除く。」という要件が加えられた。さらに、廃用症候群に係る評価表が、毎月FIMかBIの点数を記載するなどより厳密になった。廃用症候群は現在でも保険者から目の敵にされており、今後請求が激減することが予想される。


# 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟は大幅に減少?
 回復期リハビリテーション病棟入院料1は、休日加算の包括化、重症度、医療・看護必要度の厳格化に伴い、大幅に減少すると言われている。体制強化加算まで算定できる病棟は限られると想定されている。


# 摂食機能療法の経口摂取回復促進加算要件である専従言語聴覚士は、疾患別リハビリテーション算定も可能
 通知をみると、次のような記載があることを見つけた。「当該保険医療機関において、摂食機能療法に専従の常勤言語聴覚士が1名以上勤務していること。ただし、ADL維持向上等体制加算、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料及び地域包括ケア入院医療管理料を算定している病棟の配置従事者と兼任はできないが、摂食機能療法を実施しない時間帯において、脳血管疾患等リハビリテーション、集団コミュニケーション療法、がん患者リハビリテーション及び認知症患者リハビリテーションに従事することは差し支えない。また、摂食機能療法とその他のリハビリテーションの実施日・時間が異なっている場合であっても、別のリハビリテーションの専従者として届け出ることはできない。」言語療法士にとっては朗報である。


 その他、維持的リハビリテーション料の評価など気になる改定はいくつかあるが、とりあえず、今日はここまでとする。