大腿骨頸部骨折地域連携パスにおける患者類型化

 大腿骨頸部骨折地域連携パスの会議があった。論議の中で標準化・効率化の話が出てきた。確かに現行のパスは手間ばかりかかって負担が大きい。
 回復期リハビリテーション病棟に入院する実際の患者を思い浮かべながら、目標設定のパターン化を図ってみた。


(1)骨折前IADL自立×運動機能・認知機能問題なし
 この群は受傷前の状態に近づき、早期に退院可能となる。独居で自信がつくまで入院させて欲しいという生活背景がある方が回復期リハビリテーション病棟に回ってくる。
(2)骨折前IADL自立×運動機能問題あり・認知機能問題なし
 変形性膝関節症や脳卒中片マヒで、杖などの歩行補助具を用いて屋外歩行をしている者が含まれる。やや時間がかかるが、歩行再獲得が可能となる。
(3)歩行自立・認知機能低下
 いわゆる歩ける認知症が含まれる。再転倒を起こしやすい状態であり、監視を外せない。家族状況次第では施設入所も検討する。
(4)屋内生活中心×運動機能・認知機能著しい問題なし
 閉じこもりがちの虚弱高齢者がここに含まれる。心肺機能低下があるため、骨折前より運動機能が低下した状態にとどまる。
(5)屋内生活中心×運動機能・認知機能問題あり
 高次脳機能障害のある脳卒中後遺症者などが含まれる。予備能力が低いため、歩行再獲得が可能かどうかは実際にリハビリテーションをしてみないとわからない。
(6)骨折前より歩行不能
 介助量軽減が目標となる。


 心不全や肺塞栓などの合併症が起こってリハビリテーションができない状態でない限り、また、もともと慢性透析をしているといった条件でない限り、回復期リハビリテーション病棟の対象とする。上記6つの類型の中からパターンを選んでもらったうえで紹介してもらうという方式にする。急性期病院の整形外科医にとっても、受け入れ側のリハビリテーション病院側にとっても、簡便で分かりやすくなるのではないかと思っている。