回復期リハビリテーション病棟で自らを律する規制を要望

 日本理学療法士協会日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会が、連名で平成22年度 診療報酬改定へ向けた要望書厚労省に出した。


 実現可能性の高い項目を中心に要望書は組み立てられている。中でも注目すべきなのは回復期リハビリテーション料に次の関する項目である。

(1)リハビリテーション実施単位数の下限設定
 現在、回復期リハビリテーション病棟の1患者当りの平均リハビリテーション単位数は4.5単位ですが、1日1単位という施設も2.5%存在しています。このような状況では現在の医療制度における「回復期リハビリテーション病棟」としての機能を十分果たしているとは言えません。
 つきましては、回復期リハビリテーション病棟の機能を保障するため、患者1人当たり1日単位数を3単位以上提供することを、回復期リハビリテーション病棟の条件とすることを提案致します。


 他の項目は基本的に引き上げ要求だが、本項目は規制強化である。リハビリテーション専門職として自らを律する規定を求めている。
 経営至上主義で回復期リハビリテーション病棟を運営している者がいる。つい最近もリハビリテーションの志を侮辱する発言をする方と会話する機会があり、心の底から怒りを覚えた。
 濃密で集中的なリハビリテーションを行うことでリハビリテーション効果が上がることにはエビデンスがある。リハビリテーション関連団体は、手厚い人員配置をする病棟の診療報酬を引き上げることを繰り返し要望してきた。しかし、厚労省は回復期リハビリテーション病棟に患者選別につながる成果主義を導入した。その際、リハビリテーション効果がほとんど上がらない脳卒中患者を集め、病棟をたらい回して利益を出している一部病棟の悪業が口実として使われた。
 回復期リハビリテーション病棟の質の向上のために本当に必要なのは、専門団体の自律性である。本要望は、その第一歩である。