回復期リハビリテーション病棟への成果主義に対する検証が行われる
2006年度診療報酬改定において導入された「回復期リハビリテーション病棟に対する成果主義」の検証が行われる。厚生労働省:第22回中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会資料、「平成21年度特別調査について」、資料(検−2)(PDF:107KB)の(別紙3)が該当する部分である。
(別紙3)
回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された「質の評価」の効果の実態調査(案)
<調査概要>
試行的に導入された「質の評価」により、患者の状態の改善の状況はどうなっているのか。又、患者の選別が行われていないか等の調査を行う。
<主な調査項目>
・回復期リハビリテーション病棟入院料1又は2を算定している施設毎の入退院時の患者の状況
・居宅等への復帰率、重症患者の受け入れ割合
・リハビリテーション提供体制
<調査客体>
「回復期リハビリテーション病棟入院料」を算定している保険医療機関の中から抽出した保険医療機関(抽出方法及び客体数は調査検討委員会で決定)
<調査スケジュール>
平成21年
5月 調査機関の選定
6月 「調査検討委員会」における調査設計、調査票等の検討調査客体の選定
7〜8月 調査実施
9月 調査票回収、集計
10〜11月 調査結果報告
厚労省は、中医協で決まったから仕方なく検証作業をするという立場で実態調査(案)を作成した。「選別」の実態を明らかにするという立場で調査項目が選定されていないことが一目瞭然である。
入院患者だけではなく、「断った」患者や転院基準(入棟基準)についての項目がないと、「患者の選別が行われていないか」という批判に対する回答にはならない。居宅等への復帰率に影響を及ぼす「介護力」(同居家族数等)に関する調査項目も必須である。
「選別」の実態を明らかにするためには、回復期リハビリテーション病棟側だけではなく、急性期病院側に対する調査も必要である。本資料の(別紙2)「医療機関における医療機能の分化・連携に与えた影響調査(案)」の方で行うことでも構わない。代表的な疾患である脳血管障害と大腿骨頚部骨折において、「回復期リハビリテーション病棟」へ紹介した患者と依頼できなかった患者との比較をすれば、「選別」の状況がよく分かる。
ADL改善が困難な重症患者や自宅退院が困難な独居高齢者が回復期リハビリテーション病棟から排除される可能性がないのかという批判に対する回答は、本調査からは得られそうもない。