中医協でリハビリテーションに関する論議始まる

 2009-11-19 - Toshikun’s Diaryからの情報で、中医協リハビリテーションに関する論議が始まったことを知った。関係する資料を列挙する。


# 厚生労働省:第151回中央社会保険医療協議会総会資料
 資料(平成21年11月16日社会保障審議会医療保険部会資料))(PDF:376KB)内に次のような記載がある。

1.重点課題関係
(1)救急、産科、小児、外科等の医療の再建
(2)病院勤務医の負担軽減策の充実(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)


2.4つの視点関係
(1)充実が求められる領域を適切に評価していく視点
(2)患者からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療
(3)医療と介護の機能分化と連携の推進等を通じて、質が高く効率的な医療を実現する視点

  • 質が高く効率的な急性期入院医療の推進
  • 回復期リハビリテーション等の機能強化
  • 在宅医療・在宅歯科医療の推進
  • 医療職種間、医療職種・介護職種間の連携の推進 等

(4)効率化の余地があると思われる領域を適正化する視点


 回復期リハビリテーションは機能分化と連携の推進に明確に位置づけられている。なお、「適正化」という用語は、厚労省内では削減という意味で使用されるので注意を要する。


# 厚生労働省:第148回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会資料
○ リハビリテーションについて
 資料(診−2)(PDF:121KB)
 資料(参考資料(リハビリテーション))(PDF:603KB)


 前者が総論である。疾患別リハビリテーションについては、次のような記載がある。

第2 現状と課題
1 回復期のリハビリテーションの充実が進む一方、発症後早期からのリハビリテーションについては十分とは言えないとの指摘が見られる。特に、運動器リハビリテーションについては、発症後早期の患者に対応する場合に人員配置等の基準が十分ではないことから、大腿骨頸部骨折の手術後患者などの急性期の患者に対して十分なリハビリテーションが提供されていない場合があることが指摘されている(参考資料P16)。
2 脳血管疾患等リハビリテーションの対象患者とされている廃用症候群については、患者の状態像や提供されているリハビリテーションの内容について実態が十分に把握できていないとの指摘がある(参考資料P17)。
3 心大血管リハビリテーションは、外来で実施されるケースも増加しているが、施設基準等の要件が厳しいことにより実施施設数が限定されているとの指摘がある(参考資料P18-22)。

第4 論点
1 発症後早期のリハビリテーションについて、診療報酬上の評価をどう考えるか。また、急性期の運動器リハビリテーションが患者の必要度に応じて十分な体制の下で提供されることについて、診療報酬上の評価をどう考えるか(参考資料P8-10,16)。
2 廃用症候群の患者に対して、そのニーズに応じたリハビリテーションを提供するための診療報酬上の措置についてどう考えるか(参考資料P17)。
3 心大血管リハビリテーションについて、その普及性の向上のために、一定の体制を確保している医療機関における診療報酬上の評価についてどう考えるか。(参考資料P18-22)
4 平成21年度介護報酬改定を踏まえ、維持期のリハビリテーションについて診療報酬上の評価についてどう考えるか(参考資料P3-7)。


 体制が充実していれば急性期の運動器リハビリテーション料を引き上げようとしているのではないかと推測する。また、心大血管リハビリテーションも充実対象となっている。
 一方、廃用症候群に対するリハビリテーションと維持期リハビリテーションに関しては、資料内にはプラス材料は認められない。


 回復期リハビリテーション病棟については、次のような指摘がある。

第2 平成20年度診療報酬改定調査検証部会の調査結果
1 平成21年度診療報酬改定結果検証調査によると、回復期リハビリテーション病棟の退棟患者の約70-75%が在宅に移行している(参考資料P29,30)。
2 重症患者の入院割合については、回復期リハビリテーション病棟入院料Iを算定している病棟が約30%、入院料IIを算定している病棟のうち平成20年4月以降に施設基準を取得した病棟が約27%、それ以前に施設基準を取得した病棟が約17%となっており、Iを算定する病棟の方が重症者の入院割合が高くなっていた。また、重症患者のうち約60%が退棟時に日常生活機能評価の点数が3点以上改善していた(参考資料P31,32)。
3 患者1人1日当たりのリハビリテーション提供単位数は平均4.5〜5.7単位であったが、2単位以下という病棟も見られた。病棟におけるリハビリテーション提供体制については、平日と比較して日曜日の人員配置が著しく少なくなっていた(参考資料P33-35)。


第3 論点
1 調査検証結果を踏まえ、回復期リハビリテーション病棟入院料の質の評価についてどう考えるか(参考資料P26-32)。
2 回復期リハビリテーション病棟において、患者の回復に必要なリハビリテーションが十分に提供される体制の担保について、診療報酬上の評価をどう考えるか(参考資料P33-35)。


 平成20年度診療報酬改定調査検証部会資料は以下にある。

# 厚生労働省:第26回中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会資料
 資料(検−2−3)の全体版(PDF:1,059KB)
 『回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された「質の評価」の効果の実態調査 結果概要(速報)』について記載されている。


 回復期リハビリテーション病棟に関しては、1日あたりの提供単位数とともに、土曜・日曜体制についてもわざわざ資料が出されている。さらに1週間あたりの提供単位数とバーセル指数の改善点数のグラフも示されている。アウトカム指標から、ストラクチャーやプロセス指標重視へ変更される可能性がある。特に、日曜も含めたリハビリテーション提供体制が診療報酬上評価されると予測する。