回復期リハビリテーション病棟入院料算定状況

 『回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された「質の評価」の効果の実態調査 結果概要(速報)』について、資料(検−2−3)の全体版(PDF:1,059KB)の分析を行う。

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# アンケート回収率
 施設調査、病棟調査、退棟患者調査が行われた。
 施設調査は、全国の回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している保険医療機関1,011病院(平成21年7月1日現在)の全てを対象とした。
 病棟調査は、施設調査の対象施設において、回復期リハビリテーション病棟入院料の届出を行っている全ての病棟を対象とした。
 退棟患者調査は、施設調査の対象施設において、平成21年6月1カ月間に回復期リハビリテーション病棟を退棟した全ての患者(ただし、回復期リハビリテーション病棟入院料の算定患者のみ)を対象とした。
 施設調査の有効回収数は501件、49.6%だった。病棟調査は652件、退棟患者調査は9,735件の回答があった。


# 回復期リハビリテーション病棟入院料算定状況
* 施設調査より

  • 「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定 51.3%
  • 「入院料1(1690点)」のみ算定 33.9%
  • 「入院料2(1595点)」算定 16.8%


* 病棟調査より

  • 「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定 88.0 × 0.634 = 55.8%
  • 「入院料1(1690点)」のみ算定 32.2%
  • 「入院料2(1595点)」算定 12.0%
    • うち、H20.4以降に基準取得(実績期間)の病棟は79.5%
    • うち、H20.3以前に基準取得(継続算定)の病棟は20.5%


# 新入棟患者の状況
(1)日常生活機能評価10点以上の重症患者の割合

  • 「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定: 29.3%
  • 「入院料1(1690点)」のみ算定: 29.2%
  • 「入院料2(1595点)」算定(H20.4以降に基準取得:実績期間): 27.2%
  • 「入院料2(1595点)」算定(H20.3以前に基準取得:継続算定): 16.5%


(2)主たる原因疾患

 「入院料2(1595点)」算定病棟は、脳血管疾患の割合が少ない。特に、H20.3以前に基準取得(継続算定)の病棟では、骨折や神経、筋、靭帯損傷の割合が高い。


(3)在宅復帰率

  • 「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定: 75.7%
  • 「入院料1(1690点)」のみ算定: 76.0%
  • 「入院料2(1595点)」算定(H20.4以降に基準取得:実績期間): 73.3%
  • 「入院料2(1595点)」算定(H20.3以前に基準取得:継続算定): 70.4%


(4)入棟時に重症であった患者の退棟時の日常生活機能評価の改善状況

  • 「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定: 59.5%
  • 「入院料1(1690点)」のみ算定: 59.1%
  • 「入院料2(1595点)」算定(H20.4以降に基準取得:実績期間): 45.4%
  • 「入院料2(1595点)」算定(H20.3以前に基準取得:継続算定): 37.8%


【まとめ】
 最も高い診療報酬「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」を算定している病棟は、全体の55.8%である。「入院料2(1595点)」算定病棟は12.0%であり、これは以前の調査と比べると少ない。アンケート未回収が約半数あることを考慮すると、「入院料2(1595点)」算定病棟はこの値よりは増えると予測する。
 「入院料2(1595点)」算定病棟は、骨折や軟部組織損傷で入院する者が多い。日常生活機能評価10点以上の重症患者の割合は、H20.3以前に基準取得を取得した病棟で最も少ない。骨関節疾患中心の病棟では重症患者率が低いために、「入院料2(1595点)」算定に留まっている可能性がある。一方、H20.4以降に基準取得した病棟では、重症患者割合が27.2%と「入院料1」の病棟よりわずかに低い程度である。
 「入院料1(1690点)」のみ算定病棟が32.2%ある。重症患者割合、主たる原因疾患、在宅等復帰率、重症患者回復率いずれをとっても、「入院料1かつ重症患者回復病棟加算(1740点)」算定病棟と大差がなかった。今後、「入院料1(1690点)」のみ算定病棟のうち、重症患者回復病棟加算をとる病棟が増加すると予測する。