医療費抑制の結果、結核病棟閉鎖に追い込まれる
仙台赤十字病院の結核病棟が2010年3月で閉鎖されることになった。
結核病棟の閉鎖について
先の戦争直後、日本人の平均余命はヨーロッパ諸国に比べてかなり短く、その原因として戦争・結核による死亡者が多いことと貧困があげられています。当院は戦中から継続してこれまで、宮城県の結核診療の一部を担って来ておりますが、その間、日本は富裕になり、結核は適切な治療を受ければ完治する病気になりました。しかし、結核は決して過去の病気ではなく、日本は世界から結核の中蔓延国であると評価されています。
RedCrossせんだい広報誌-仙台赤十字病院
当院は結核病棟の運営を続けて来ていますが、5年以上前から結核病棟からの赤字額が増えており、ここ数年間は毎年約1億4千万円に達しています。宮城県と仙台市からは当院が結核病棟を維持出来るようにと3年前より補助金が支給されており、さらに県は当院の負担が軽減されるようにと新規の結核病棟開設に向けて鋭意努力されています。しかし、このところ医療界の状況は益々悪化しており、当院もその例外ではなく、結核医療への補助金を受けても、独立採算制をとり行政からの繰入金が無い当院では、他の診療による収益と補助金を合わせても結核病棟の赤字を補填することが困難になってしまいました。
このまま結核病棟を運営し続ければ赤字が累積して、病院全体の存続にもかかわると判断し、21年度末で結核病棟を閉鎖することに致しました。皆様には、当院の置かれた状況をご賢察いただき、ご理解を賜りたくお願いします。(この件に関する質問などは、当院の総務企画課にお願いします。)
当院にも、仙台赤十字病院から結核病棟閉鎖のご連絡がきた。結核医療への情熱は失っていないが、このままでは病院経営が立ち行かなくなると訴えており、無念さが伝わってくる内容だった。
結核は過去の病気ではない。しかし、医療費抑制の影響は、公的病院をして結核病棟閉鎖を覚悟させるほど過酷なものとなっている。
仙台市民は、身近な場所で結核治療を受けることができなくなるという異常事態に来年度から直面することになった。