平成21年度介護報酬改定に係る諮問

 平成21年度介護報酬改定に係る諮問が出された。詳しくは、厚生労働省:第63回社会保障審議会介護給付費分科会資料をご覧頂きたい。諮問書はPDFファイルで328ページにもなる。リハビリテーション関係を中心に今後解析をしていく。


 介護報酬改定に関わるニュース、http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081226/plc0812261741009-n1.htmを引用する。

職員の待遇改善を推進、社保審が21年度介護報酬改定案を答申
2008.12.26 17:40


 厚生労働相の諮問機関・社会保障審議会は26日、平成21年度の介護報酬(介護サービスの公定価格)の改定案を、舛添要一厚労相に答申した。報酬総枠3%アップ(年約2300億円)を人手不足が深刻な介護従事者の待遇改善や医療・介護の連携強化、認知症対策へ重点配分した。新たな報酬単価は来年4月から適用される。


 改定の最大の目玉は介護従事者の待遇改善だ。政府は「平均2万円の月収アップ」を目指すと説明してきたが、報酬単価にはメリハリが付いており一律に給与が上がるわけではない。


 具体的には、(1)夜勤など負担の大きい業務に対し必要な職員数を確保した事業所(2)専門職員や経験のある職員を多数雇用している事業所(3)人件費の高い東京23区や中山間地の事業所−に対して手厚く配分した。


 例えば、負担の大きい業務については、訪問介護の初回時や緊急時を新たに高い評価にすることにした。このほか、理学療法士など常勤職員を配置してきめ細かなトレーニングを行う通所介護(デイサービス)も加算する。激務の夜勤職員を最低基準より多く配置した介護施設や、看取りを行った介護老人保健施設にも手厚く配分する。


 介護従事者の早期退職を防止するため、介護福祉士を40%以上配置▽3年以上の勤続年数者を30%以上配置▽職員研修を実施−といった条件を満たした事業所については、報酬を新たに加算し、介護従事者のキャリアアップを支援していく考えだ。


 利用者側からみると、人手のかかった質の高いサービスが受けられることになる一方で、自己負担も増える。厚労省は「利用者負担が一定上限を超えた場合に超過分が払い戻される制度があり、大きな負担増にはならない」としている。


 ざっと「平成21年度介護報酬改定の概要」と「諮問書」を眺めてみた。
 メリハリがついたといっては何だが、一律に介護報酬が上がっている訳ではない。むしろ、条件を満たさない場合には大幅ダウンとなっている報酬もある。
 訪問リハビリテーション費500 単位/日⇒ 305 単位/回(注20 分間リハビリテーションを行った場合に1回として算定)となっている。短期集中リハビリテーション加算も若干だがプラスとなっている。
 通所リハビリテーション(1時間以上2時間未満)が新設された。要介護1 270 単位/回〜要介護5 390 単位/回となっている。さらに、1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションについてのみ、常勤かつ専従の理学療法士等を2名以上配置していると、理学療法士等体制強化加算(新規)30 単位/日がつく。
 これまでの通所リハビリテーションに関わる人員配置基準も変更になった。「そのうち、専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる理学療法士作業療法士又は言語聴覚士が、常勤換算方法で、利用者が100人又はその端数を増すごとに1人以上確保されること。」となっている。今までは週あたり0.2人という基準だったはずであり、今回の改定は、実質的に療法士常勤配置を求めるものになっている。一方、診療所では、「そのうち、専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる理学療法士作業療法士若しくは言語聴覚士又は通所リハビリテーション若しくはこれに類するサービスに1年以上従事した経験を有する看護師が、常勤換算方法で、0.1人以上確保されること。」となっており、こちらは実質的に基準切り下げとなったようである。


 リハビリテーション関係で言うと、2006年度から毎年改定が続いている。今回の介護報酬改定では、リハビリテーション専門職の介護保険分野への誘導が行われている。年末年始の忙しい時期だが、人員配置に関わる課題であり、なんとか早めに暗号解読をしていきたい。