回復期リハ病棟では、看護業務の2割が「リハ」
全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会第7巻第3号(通巻26号)に、「回復期リハ病棟における提供サービスの実態と今後の課題 −他計式1分間タイムスタディ調査結果をもとに」という調査報告(講演要旨)が載った。筒井孝子氏と東野定律氏が分担して報告をしている。この報告の中で、回復期リハビリテーション病棟における看護業務の特徴が紹介されている。
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# 職員に対するタイムスタディ調査のポイント(対象職員:337名)
看護師1人あたりの総看護業務提供時間は平均483.6分。
- 「療養上の世話」が29.9%
- 与薬、治療、処置などの「専門的看護」が4.0%
- 機能訓練など「リハビリテーション」が20.8%
- 残りは「行事、連絡、調整、報告、会議、研修など」看護関連業務が45.2%
# 患者に対するタイムスタディ調査のポイント(対象患者:58名)
- 「専門的看護」では、明らかに「7対1」「10対1」のほうが「回復期」よりも提供時間が長い。
- 「リハビリテーション」では、「回復期」が「7対1」「10対1」の10倍近く提供時間が長くかかっている。
本講演では、「日常生活機能評価」を用いて、回復期リハ病棟間に重症度の差があることや患者の改善度を見ている。一方、「重症度に係る評価票」(ICU用)、「重症度・看護必要度に係る評価票」(ハイケアユニット用)の2種類を組み合わせ、回復期リハ病棟の看護師配置数を算定し、実配置数と比較するという試みを行っている。
「看護必要度」とは、「入院患者に提供されるべき看護の必要量」をいう。「看護必要度」を正確に把握し、適切な看護師配置を評価するために用いられる。いわば、科学的根拠に基づく要員管理のツールである。しかし、実際に調査を行った対象は、ICUやハイケアユニットであり、回復期リハビリテーション病棟ではない。
1分間タイムスタディで明らかになったことは、回復期リハビリテーション病棟で働く看護職の業務が、「7対1」「10対1」の看護業務は明らかに異なっていることである。ICUやハイケアユニット用の「看護必要度」を用いて、回復期リハビリテーション病棟の看護師配置数を算定することは誤りである。
「重症度・看護必要度に係る評価票」(ハイケアユニット用)のB得点を、「日常生活機能評価」という名前に変更し、ADL評価のような体裁で評価するという恣意的な改変がなされた。石川誠氏の発言にもあるように、「日常生活機能評価」とFIMやBarthel IndexのようなADL評価には互換性があるとは言い難い。言い換えると、日常生活機能評価はADL評価として妥当性に欠けることを、「看護必要度」開発メンバーや厚労省官僚が理解しないといけない。