日常生活機能評価とバーセル指数との関係

 引き続き、厚生労働省:第26回中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会資料内にある資料(検−2−3)の全体版(PDF:1,059KB)より、退棟患者調査の一部を紹介する。


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看護必要度の弊害(まとめ)(2008年3月13日)


 日常生活機能評価とバーセル指数との関係を示す。


 日常生活機能評価の点数ごとにバーセル指数がどのように分布しているかを箱ひげ図を並べて示している。全体として負の相関関係があるが、ばらつきも大きいことがわかる。特に重症患者判定基準である9点と10点との間には大きな差はない。
 日常生活機能評価の中に、起居移動動作や身の回り動作などADLに関わる項目が含まれている。したがって、一定の相関関係があるのは当然である。しかし、日常生活機能評価には、「床上安静の指示」や「どちらかの手を胸元まで持ち上げられる」といった畑違いの項目が含まれている。また、もともとがハイケアユニット用の看護必要度のB項目である。採点基準では、看護労働上介助をしていない場合には「介助なし(0点)」と判定される。日常生活機能評価とADL評価であるバーセル指数とは異質のものであり、互換性に乏しい。



  総合リハビリテーション37巻5号(2009.05)P.453-460:回復期リハビリテーション病棟での日常生活機能評価表とFIMとの関係で、園田らも同様の内容を指摘している。

〔結語〕日常生活機能評価表はADL評価の側面を有するが,FIMと互換性があるとは言い難く,日常生活機能評価表が何に関する指標であるのか,リハビリテーション成果を表すのか,今後の検討が必要である.


 「日常生活機能評価が何に関する指標であるのか」という問いに即答できるリハビリテーション医療関係者はいない。専門家が理解できない指標をもとにしても、回復期リハビリテーション病棟の質は評価できない。