子どもの窒息事故、菓子類、特に飴玉に注意

 窒息事故に関する基礎的データとして、厚生労働省食品による窒息事故に関する研究結果等についてがある。研究結果 全体版(PDF:2,005KB))のうち、「窒息事故の現状把握調査」についてまとめた。

窒息事故の現状把握調査


【対象】
1.消防本部
 東京消防庁及び各政令都市消防局18ヶ所を対象とし、12ヶ所から回答された737例を分析した。
2.救命救急センター
 全国47都道府県において平成19年11月現在登録されている204ヶ所を対象とし、75ヶ所から回答された621例を分析した。
 両者とも平成18年1月1日から12月31日までの1年間の事故事例を収集した。


【結果】
1.消防本部

  • 年齢(N=592): 平均68.4歳。65歳以上76.0%、10歳未満12.0%。
  • 傷病程度: 死亡65例、重症227例。
  • 原因の食材(N=432): 下表。
例数 内訳
穀類  211  48.8% 餅77、米飯61、パン47、粥11
菓子類  62  14.4% あめ22、団子8、ゼリー4、カップ入りゼリー8
魚介類  37  8.6%
果実類  33  7.6%
肉類  32  7.4%
いも及びでん粉類  16  3.7% しらたき4、こんにゃく2


 年齢が分かっている者で、もちとカップ入りゼリーの分布をみると、もちでは、「1-4歳」1例、「45-64歳」6例、「65-79歳」27例、「80歳以上」31例の合計65例、カップ入りゼリーでは、「1-4歳」2例、「65-79歳」2例、「80歳以上」3例となった。
 10歳未満73例中、菓子類が最も多く、そのうち20例があめであった。次いで魚の骨10例、果実類5例だった。
 65歳以上453例中、穀類が最も多く、次いで肉類であった。穀類では、多い順にもち58例、ご飯28例、パン25例となっており、食品成分表での分類はできないが、寿司も17例であった。


 基礎疾患でみると、あり270例、なし198例、不明205例。10歳未満で基礎疾患ありは5例。65歳以上では、基礎疾患ありがなしを上回っていた。



2.救命救急センター

  • 年齢(N=602): 平均74.7歳。65歳以上82.4%、10歳未満4.3%。
  • 傷病程度(N=644、注:回答数を上回る。集計ミスか?): 死亡378例、救命257例、不明9例。死亡率58.7%。
  • 原因の食材(N=371): 下表。
例数 内訳
穀類  190  51.2% 餅91、米飯28、パン43、粥11
菓子類  44  11.9% あめ6、団子15、カップ入りゼリー3
魚介類  25  6.7%
果実類  27  7.3%
肉類  28  7.3%
いも及びでん粉類  8  2.2% こんにゃく8


 年齢が分かっている者で、もちとカップ入りゼリーの分布をみると、もちでは、「45-64歳」6例、「65-79歳」44例、「80歳以上」41例となった。カップ入りゼリーでは、「5-9歳」1例、「65-79歳」2例だった。
 10歳未満26例中、菓子類8例と最も多く、そのうち5例があめであった。次いでミルクなどの乳類だった。
 65歳以上510例中、穀類が最も多く、次いで菓子類、果実類と続いた。穀類では、もち85例、ご飯25例、パン31例となっていた。菓子類28例では、団子15例だった。


 基礎疾患あり417例、なし73例、不明77例。10歳未満で基礎疾患ありは7例。65-79歳では、基礎疾患ありがなしの約6.5倍、80歳以上では7倍だった。


 窒息事故の原因食材と年齢との関係についてまとめた報告はほとんどない。ネット上で調べた限り、厚生労働省食品による窒息事故に関する研究結果等についてが最も信頼に足るものである。
 本研究は、もちとミニカップ入りこんにゃくゼリーに焦点を当てている。しかし、10歳未満の年少者に的を絞ってみると、最も危険な食材は菓子類、特に飴玉であることが分かる。飴玉はその性質上、噛み砕いて食べるものではない。口腔内でなめながら少しずつ溶かしていくものである。物性の特徴として硬く、誤って飲み込んでしまった場合気道閉塞を起こす可能性が高い。
 「あめ」、「飴玉」と「窒息」をかけあわして検索しても、こんにゃくゼリーのように企業の社会的責任を問うようなサイトは引っかからない。一般的な注意が散見されるだけである。もちなどと同様、歴史が古い食材であることがその理由と推測する。
 少なくとも学童期以前の乳幼児には、飴玉を与えることは控えるべきである。どうしてもということなら、飲み込むおそれがないペロペロキャンディーや硬くない水飴にした方が良い。