こんにゃくゼリーによる幼児窒息事故の判決があった。
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兵庫県の男児(当時1)が「こんにゃくゼリー」をのどに詰まらせて死亡したのは食品としての安全性に欠陥があったとして、両親が製造物責任(PL)法に基づいてマンナンライフ(群馬県富岡市)と同社社長らに約6240万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、神戸地裁姫路支部であった。中村隆次裁判長は「通常の安全性を備えており欠陥はない」と述べ、両親の請求を棄却した。こんにゃくゼリーの製造元の責任をめぐる判決は初めて。原告側は控訴する方針。
(中略)
判決は(1)こんにゃくゼリーの「冷やすと硬さや付着性が増す」などの特性はこんにゃく自体のもので、通常のゼリーと食感が異なることは消費者も十分認識できた(2)当時、外袋に子どもや高齢者への注意を呼びかけるイラスト入りの警告表示があった――などと指摘。幼児らに与える際には食べやすい大きさに加工するのが通常と考えられるとして、製品にPL法上の欠陥はないと結論づけた。
http://www.asahi.com/food/news/OSK201011170022.html
今回の訴訟の最大の目的は、こんにゃくゼリーを製造中止に持ち込むことであったことを当時者が述べている。
「事故の再発を防止できるとは思えなかった」と両親は提訴。窒息事故をめぐる別の訴訟ではいずれも和解が成立し、今回の訴訟でも裁判所は和解を勧めたが、父親らは「今後も事故が起こらないよう、製造中止に追い込みたい」と企業責任を求め続けたため企業側が和解に応じず、初めての“司法判断”となった。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/101117/trl1011171442013-n1.htm
製造物の欠陥で被害を生じたことが明白の場合は、PL法に基づく訴訟は有効である。しかし、窒息事故は複合的要因で起こる。幼児や高齢者など摂食嚥下機能にもともと問題がある場合、餅、あめ玉、ミニカップ入りゼリー(こんにゃくゼリー)などで致死的な窒息事故を生じる。今回も、こんにゃくゼリーを冷やして幼児に与えたという行為が窒息事故を誘発した。
窒息による死者は、年間4,000人弱にもなる。その多くが高齢者である。また、乳幼児の不慮の事故の多数を窒息事故が占める。窒息ハイリスク群である高齢者と乳幼児に関しては、食品の属性を把握し、窒息事故を避ける努力が保護者、介助者側にも求められる。食品会社が安全性向上の努力をすることは当然である。しかし、不慮の窒息事故の全責任を製造業者に負わせることは適当ではない。