厚生労働省発表(平成20年1月18日)、厚生労働省:身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査の調査結果について、(PDF:322KB)より、障害者の就業状況の一部を紹介する。
1 身体障害者就業実態調査
- 全国の15歳以上64歳以下の身体障害者は、134万4千人と推計されるが、このうち、就業している者が57万8千人(43.0%)、就業していない者が72万2千人(53.7%)となっている。
- 身体障害者の就業状況を就業形態別にみると、常用雇用されて就業している者が48.4%、常用雇用以外の形態で就業している者が47.1%となっている。
- 不就業者の就業希望の有無をみると、就業希望ありの者の割合が58.7%となっている。
2 知的障害者就業実態調査
- 全国の15歳以上64歳以下の知的障害者は、35万5千人と推計されるが、このうち、就業している者が18万7千人(52.6%)、就業していない者が16万人(45.0%)となっている。
- 知的障害者の就業状況を就業形態別にみると、常用雇用されて就業している者が18.8%、常用雇用以外の形態で就業している者が80.0%となっている。
- 不就業者の就業希望の有無をみると、就業希望ありの者の割合が40.9%となっている。
3 精神障害者就業実態調査
- 全国の15歳以上64歳以下の知的障害者は、35万1千人と推計されるが、このうち、就業している者が6万1千人(17.3%)、就業していない者が28万3千人(80.7%)となっている。
- 精神障害者の就業状況を就業形態別にみると、常用雇用されて就業している者が32.5%、常用雇用以外の形態で就業している者が59.7%となっている。
- 不就業者の就業希望の有無をみると、就業希望ありの者の割合が62.3%となっている。
# 障害別就業状況(単位%)
常用雇用 常用雇用以外 自営 家族従業者 会社団体役員 臨時雇日雇 内職 授産施設等 作業所等 その他 無回答 身体障害者 48.4 47.1 16.7 4.4 9.9 3.2 1.7 3.5 3.0 4.7 4.5 知的障害者 18.8 80.0 0.9 2.8 ー 10.8 ー 32.2 26.9 6.4 1.1 精神障害者 32.5 59.7 3.1 4.8 5.3 2.6 0.9 8.8 28.9 5.3 7.9 自営、家族従業者、会社団体役員、臨時雇・日雇、内職、授産施設等、作業所等、その他は常用雇用以外に含まれる。なお、知的障害者就業実態調査中、臨時アルバイトは臨時雇日雇に入れた。
身体障害、知的障害、精神障害、それぞれの特徴が示されている。
身体障害者は常用雇用率が比較的高い。常用雇用以外では、自営や会社・団体の役員の率が高く、授産施設等や作業所等は低い。
一方、知的障害者は常用雇用率が著しく低く、授産施設等や作業所等があわせて半数以上となる。
精神障害者は、常用雇用と授産施設等がそれぞれ約3割となっている。
人は単に生活の糧を得るためだけに仕事をするのではない。就労には社会の一員として自らの存在意義を確認するという意味がある。働くことの喜び、労働を通じて得られる誇り、そこに価値がある。
知的障害や精神障害と比べると、身体障害者の常用雇用化の方が先行している。バリアフリーの考え方が浸透し、建築物や公共交通機関などインフラ面において物理的バリアが除去されるようになってきた。環境が整えば、身体障害があっても十分戦力になると企業が判断しつつある。
一方、知的障害者や精神障害者は、授産施設や作業所などによる福祉的就労にとどまっている。頭部外傷後遺症などで生ずる高次脳機能障害の場合も、就労に関しては厚い壁がある。
障害者の就労に関してはまだまだ改善の余地がある。厚生労働省発表 平成19年11月20日、民間企業の障害者の実雇用率は、1.55%(平成19年6月1日現在の障害者の雇用状況について)、全体版(PDF:878KB)内に次の記載がある。
1,000人以上規模の企業においては、実雇用率は高い水準(1.74%)にあるものの、法定雇用率達成企業の割合(40.1%)が企業規模別で最も低くなっているといった状況となっている。
CSR(企業の社会的責任)の重要性が強調される中、特例子会社制度の利用など新しい試みも始まっている。大企業がその社会的責任を果たす上で、障害者雇用により積極的になることを望む。