国立大学法人運営費削減という愚挙

 毎日新聞09年度予算:概算要求 「特別枠」今年度以上 医師不足、高齢者支援などより。

09年度予算:概算要求 「特別枠」今年度以上 医師不足、高齢者支援など


 財務省は15日、09年度予算編成に向けた概算要求基準(シーリング)の大枠を固めた。福田康夫首相が「五つの安心プラン」として打ち出した医師不足や救急医療対策、高齢者支援など重点分野には「特別要望枠」を08年度(6000億円)以上の規模で設定する。一方で、社会保障費の伸びを2200億円抑制することや公共事業費の前年度比3%削減、防衛関係費の同1%削減などの歳出抑制路線は堅持する。


 このほか、国立大学法人運営費や私立学校助成費も同1%削減とするほか、公益法人への支出の大幅削減なども行い、「重点施策とのメリハリを付ける」(額賀福志郎財務相)。額賀財務相は15日午後、福田首相と会談して大枠を説明。首相の指示を受け、月末の閣議了解を目指して政府・与党との調整に入る。


 目玉となる特別要望枠は「五つの安心プラン」推進策の予算的裏づけ。福田首相の意向を踏まえて要望枠の規模などを決定するが、8月末の概算要求時に各省庁の上乗せ要望を認め、年末の予算編成で重点配分する。政府の「骨太の方針08」は、重点分野の財源を他分野の歳出削減で賄う原則を明記しており、財務省は削減状況を見ながら予算配分を決めるが、要望枠の規模次第では与党からの歳出圧力がさらに高まる可能性もある。


 また、解散・総選挙をにらむ与党では、原油・原材料高を理由に公共事業費の3%削減に反発が出るのは必至だ。【清水憲司】


毎日新聞 2008年7月15日 東京夕刊


 医師不足対策が、予算概算要求「特別要望枠」に入った。一方、社会保障費2,200億円抑制は継続することになった。注目すべきは、国立大学法人運営費・私立学校助成費の1%削減を継続するという方針が撤回されていないことである。どうやら、医師養成数は増やすものの、教官の待遇は改善しないつもりらしい。大学教官の献身的な努力に期待しているようだ。しかし、低予算のためにスタッフが逃散したら、質の高い医師養成は困難となる。
 これは、医師だけの問題ではない。教育や研究に関わる予算を削減しては、次世代は育たない。財界の意向を反映した骨太の方針などに惑わされ、社会保障や教育など生活に関わる予算削減を続ける政権に未来はない。