小泉語録、「増税の方が良い」という議論が出るまで歳出削減を行え

 昨日、「崩壊の危機にある日本の医療・介護制度の『再生』に向けて」全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)に参加した。そこで権丈善一先生が取り上げた小泉語録を紹介する。平成18年度会議結果 第16会会議 記者会見要旨:内閣府 経済財政諮問会議より。

与謝野大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨


第16回会議(平成18年6月22日)
18時53分〜18時58分 於:共用220会議室
(1)政策金融改革について
(2)歳出・歳入一体改革について
(3)成長力・競争力強化について
(4)その他


1.発言要旨
 今日は閣議もございまして、また諮問会議もただいま終了いたしました。
 今日の諮問会議は、政策金融改革について、中馬大臣から制度設計について説明を伺いました。中馬大臣の御報告については、どなたも御異議がございませんでした。
 第2に、歳出・歳入一体改革につきましては、民間議員からとりまとめに向けた論点整理のペーパーが出され、議論が行われました。
 成長力強化については、二階大臣から大綱(案)が提示され、更に作業を進めていただくようにお願いをしておきました。
 また、最後に安倍官房長官から、「生活者としての外国人」問題への対応についての御説明がありました。
 歳出・歳入一体改革につきましては、総理から与党側に依頼されました2011年度までの歳出削減策とりまとめについて、今、与党側での政治調整のプロセスにありますので、本日の諮問会議では数字を伴う議論には踏み込まないこととし、お手元にございます民間議員ペーパーで、ものの考え方、方針、今後の方向性についての骨格を確認的に議論をしたところでございます。
 また、2010年代半ばでの第III期の健全化目標のあり方、複数の経済シナリオのもとでも債務残高比率を発散させないこと、II期、III期を通じた一貫した取り組みの必要性などについて議論を行いました。
 この件に関しては、総理からは、中長期的にあるべき姿からものを考える必要がある、という強い御指示がございまして、なおかつ後で柔軟な幅がとれるようにやって欲しいと。また、竹中大臣と私、本間議員、谷垣大臣、色々議論いたしましたが、総理は、それぞれの主張に余り違いはないのではないかという御感想を最後に述べられておられました。
 詳しく総理の御発言を御紹介申し上げますと、中長期的にあるべき姿から考えることが大事だ。郵政民営化ドンキホーテと言われながら、冷厳な現実主義であることを自分自身示した。自分は、任期中には消費税はやらないと言ったが、プライマリーバランスはよくなってきた。自分がやってきた発想はこれまでなかった。長期的目標は大事だ。ただし、今年、来年には消費税は上げられない。歳出削減を徹底にまずやる。そうすると、増税の方が良いという議論が出てくる。ヨーロッパでは野党が増税を提案しているケースがある、そのように申されておりました。
 以上でございます。

(以上)


 小泉元首相の考え方が露骨に出ている。いずれ、財源確保の論議が出てくる。しかし、それは、歳出削減に音を上げて、「増税の方が良い」という議論が出るまで待つ。できれば、野党に増税を提案させたい。
 経済財政諮問会議の描いた路線どおりになってしまった。医療、介護、年金、教育などあちこちで悲鳴が上がっている。歳出削減路線はまだ続いている。現場から財源確保のためには、消費税をあげてくれという声が上がるのを待っている。与党と野党、どちらが早く消費税増税、負担増の声をあげるか、チキンレースの様相を呈している。
 小泉元首相は、国民の怨嗟の声があがり、自民党がつぶれてもかまわないと考えているようだ。そもそも、「自民党をぶっつぶす」と公言して、選挙に勝ち抜いてきた人物である。しかし、この数年間の「改革」のせいであちこちで制度破綻が起きている。いったんシステムが崩壊すると再建に時間も金もかかることは分かっていない。生活苦で自殺者が増えても気にしない。地域崩壊が起こっても意に介しない。このような人物に政権を委ねてきた国民がそのつけを払わされている。