脳卒中患者長期入院打ち切り懸念

 東京新聞 『長寿医療』で診療報酬減額 長期入院打ち切り懸念 、より。

『長寿医療』で診療報酬減額 長期入院打ち切り懸念


2008年5月2日 朝刊


 後期高齢者(長寿)医療制度導入に伴う改定で、脳卒中認知症から重度障害を負った後期高齢者の入院日数が九十日を超える場合の診療報酬が、十月から減額される。リハビリや在宅介護へ移行させ、医療費を抑えることが狙いだが、患者が行き場を失う懸念も出ている。 
 現在、後期高齢者が一般病棟に九十一日以上入院すると、九十日までの患者の入院基本料より低い「後期高齢者特定入院基本料」が算定され、点数が最大約三分の二に引き下げられている。加えて投薬や注射、画像診断検査などもこの中に含まれるようになるため、その費用は医療機関の負担となっている。
 ただ特例として、人工呼吸器を使用するなど特別な治療が必要な場合は、九十一日以降も九十日以前と同じ診療報酬が算定されている。脳梗塞(こうそく)など脳卒中の後遺症や、認知症による脳機能・運動機能の衰えで重度障害を負った人などが受ける治療も同様だったが、同改定で減額対象になる。このため医療機関から受け入れを拒否されたり、退院を迫られる懸念が指摘されている。
 厚生労働省は「療養病棟でリハビリを行ったり在宅などふさわしい場所に移行してほしい」との見解だ。
 特例対象者は全体で「一万人程度」(同省)だが、今回特例から外される「対象人数は把握していない」と話す。
 だが、脳卒中はがん、心臓病と並ぶ死亡者の多い疾病で、患者数は年間百三十七万人いる。認知症も増加傾向で、高齢化で対象患者も増えそうだ。こうした重度障害者の治療は長期にわたることが多く、事実上の治療中止にもなりかねない。
 脳卒中患者の会「虹友会」の新木昌昭会長(79)は「患者はいつ、また発病するかも分からない不安を抱えているのに、治療を十分に受けられないのではと、さらに不安が増す」と話している。


 後期高齢者特定入院料対象患者問題は、後期高齢者医療制度の破綻と後期高齢者特定入院料という時限爆弾でとりあげた。
 特例対象者は全体で「一万人程度」と厚労省は把握している。したがって、今回特例から外される「対象人数は把握していない」とのことだが、どの程度の患者が対象からはずれるか推計はしているはずである。障害者施設等病棟からも脳卒中患者が除外される。脳卒中患者に対する陰湿ないじめにも似た医療が行われようとしている。