東京オリンピック・パラリンピックにおける医療スタッフ確保が難航

 東京オリンピックパラリンピックにおける医療スタッフ確保が難航している。 

 

 この件に関し調べていたところ、日本スポーツ協会のWEBページにスポーツドクターへの要請文がアップロードされていることを確認した。

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 「組織委員会からの要請もあり、本内容についてはメールの受信者のみご確認いただくこととし、情報の取扱いについてはご留意いただきたくご協力お願いいたします。※メールの転送や、SNS への掲載はご遠慮ください。」とあったので、誰でも閲覧できる状況なのにと思いつつ、内容に関し詳細な紹介は行わない。ほぼ報道内容に沿ったものである。

 

 東京五輪組織委員会からの医療スタッフ確保の要請に関しては、東京都医師会長も寝耳に水だったようで、「私はだいたい、いつも厳しい対応をするので、嫌われているのかもしれませんが、一切、相談はありません」と述べている。

 

 東京都が主催する大規模イベントにおける医療・救護計画ガイドライン 東京都福祉保健局では、「医療・救護計画の策定に際しては、都、東京消防庁、警視庁、東京都医師会、日本赤十字社医療機関区市町村のほか、多くの職能団体や当該イベント開催に関連する団体等が円滑に連携して対応することにより、安全で安心なイベント開催に向け万全を期することが必要です。」と記載されている。

 例えば、会場医療救護本部には、「指揮統括班」を1班、「医療救護班」を1班以上配置する体制を作り、それぞれの班の構成は、医師1名、看護師等2名を原則とし、観客数約1万席(人)に対し、1か所を設置することが望ましいとなっている。「指揮統括班」は、医療・救護体制全体に精通した救急科専門医師や東京DMATの登録医師等を配置することが望ましいとまで記載されている。

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 さらに、通常時及び非常時の医療ニーズへの対応等に備え、会場ごとの搬送先となる医療機関の指定や連絡体制等について、あらかじめ整備しておくことの重要性がガイドラインに記載されている。テロ、NBC災害(放射性物質、生物剤、化学剤により発生した災害)、雑踏事故、大規模地震、火災、熱中症に加え、感染症等への対応が求められ、後方医療機関の確保・連携が求められる。

 新型コロナウイルス感染拡大がおさまらず、急速に拡大している現状を踏まえると、医療スタッフ確保、および、後方医療機関の確保は非現実的である。もうこれ以上足を引っ張らないで欲しいと苦々しく感じている。オリンピックさえなければ、もう少しまともな対策が取れていたのではないかとさえ思っている。医療関係者の神経を逆なでする形で、この時期に東京オリンピックに対し医療スタッフ確保を迫る組織委員会および政府の無神経さには呆れるしかない。

 ボランティア辞退者も増えている。医療関係者のみならず、国民の協力も得られない状態である。東京五輪は組織運営が破綻しかけており、いつ頃中止を表明するのかという状況に追い込まれていると認識している。