廃用症候群でのリハビリテーション料算定は今後困難となる
廃用症候群に対するリハビリテーション料は大幅に引き下げられ、かつ、算定要件が厳しくなった。廃用症候群は現在でも保険者から目の敵にされており、今後請求が激減することが予想される。
【関連エントリー】
- 疾患別リハビリテーション料等変更と維持期経過措置の一部延長(2014年2月16日)
- 廃用症候群リハビリテーション料は規制強化と大幅引き下げのダブルパンチ(2014年2月13日)
- 廃用症候群に関する規制強化(2013年12月8日)
廃用症候群に対するリハビリテーションを含む疾患別リハビリテーション等の適切な評価については、平成26年度診療報酬改定説明会(平成26年3月5日開催)資料等についてにある平成26年度診療報酬改定説明(医科・本体) の113ページ、および、平成26年度診療報酬改定関係資料 III-1 通知 の292〜309、485、1,141〜1,162、1,328〜1,346/1,573ページにある。
廃用症候群に対するリハビリテーション料の対象者は、次のように変更された。
外科手術又は肺炎等の治療時の安静による廃用症候群その他のリハビリテーションを要する状態の患者であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているものであって、心大血管疾患リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料、がん患者リハビリテーション料の対象となる患者を除く。
大腿骨頚部骨折術後廃用症候群、肺炎後廃用症候群、心不全後廃用症候群、胃癌術後廃用症候群などの病名は、今後許されなくなる。運動器や呼吸器のような施設基準が緩いリハビリテーション料はまだ良い。しかし、心大血管疾患やがん患者リハビリテーション料は施設基準が高く、算定している医療機関が少ない。今後、このような患者にリハビリテーション医療を行なおうとすると、どのリハビリテーション料を算定するか、頭を悩ませる必要がある。
リハビリテーション料をまとめたのが、上図である。廃用症候群は約23%減と大きく引き下げられ、他の疾患別リハビリテーション料と大差がなくなった。廃用症候群の比率が高い医療機関にとっては打撃となり、数千万円単位の減収となる。
別紙様式22 廃用症候群に係る評価表は、上図のように変更された。これまでの評価表と比べ大きく変更されたのは、他の疾患別リハビリテーション料の対象とならない理由、月毎の評価点数(BIないしFIM)、一月あたりのリハビリテーション量、リハビリテーション内容、などの項目記載が義務づけられたことである。
書類記載の労力が増え、点数が引き下げられるという嫌がらせともいえる内容となっている。この状況でも廃用症候群でリハビリテーション料を算定しますかという改定である。廃用症候群の対象者は、予備能力の低い高齢者・要介護者が多い。地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)へのリハビリテーション医療の包括化とならび、リハビリテーション医療を弱者から遠ざけることになりかねない問題の多い改定である。