疾患別リハビリテーション料等変更と維持期経過措置の一部延長

 疾患別リハビリテーション料等の変更と維持期リハビリテーションの評価について検討する。該当資料は、中央社会保険医療協議会 総会(第272回) 議事次第内にある、総−1(PDF:2,142KB)の87〜89、117〜118、134〜137ページ、別紙1−1(医科診療報酬点数表)(PDF:3,154KB)リハビリテーション1/11〜11/11ページにある。なお、胃瘻等について(171〜174ページ)で摂食機能療法が取り上げられているが、別の機会に言及する。


# 疾患別リハビリテーション料等の変更

 概要を下図にまとめた。


 ポイントは以下のとおりである。

  1. 脳血管疾患等リハビリテーション料(廃用症候群以外)の点数には変更がない。
  2. 廃用症候群の点数は、大幅に引き下げられている。*1
  3. 運動器リハビリテーション料は5点ずつ引き上げられた。また、外来でも運動器リハビリテーション料Iが算定できるようになった。*2
  4. 心大血管、呼吸器リハビリテーション料もそれぞれ5点ずつ引き上げられた。
  5. 図に示していない改定として、以下の2点がある。


 廃用症候群に対するリハビリテーション料が引き下げられる一方、他の疾患別リハビリテーション料等が引き上げられ、結果として診療報酬上の差がほとんどなくなっている。廃用症候群を算定する経営的なメリットがなくすことが狙いと推測する。


# 維持期リハビリテーションの評価

第1 基本的な考え方
 要介護被保険者等に対する維持期の脳血管疾患等、運動器リハビリテーションについて、医療と介護の役割分担の観点から、介護サービスにおけるリハビリテーションへのさらなる移行を推進する必要があることから、評価の適正化を行った上で、経過措置を延長する等、必要な見直しを行う。なお、平成 28 年度改定時においても、介護サービスにおけるリハビリテーションの充実状況等を引き続き確認する。


第2 具体的な内容
1.要介護被保険者等について、標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合の脳血管疾患等リハビリテーション及び運動器リハビリテーションの評価を見直す。


 過去1年間に介護保険における通所リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーションを実施した実績のない医療機関が、入院中の患者以外の者に対して実施 する場合は、所定点数の100分の90に相当する点数により算定する。


2.現在、標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合においても、1月に 13 単位に限り疾患別リハビリテーションを算定できることとなっている。現行、要介護被保険者等に対する維持期の脳血管疾患等、運動器リハビリテーションについては、原則として平成 25 年度までとされているが、この経過措置を平成 27 年度までに限り延長する。ただし、要介護被保険者等であって、入院中の患者については、経過措置の対象患者から除く。


3.維持期の脳血管疾患等、運動器リハビリテーションを受けている入院患者以外の要介護被保険者等について、医療保険から介護保険への移行を促進させるため、居宅介護支援事業所の介護支援専門員等との連携により、医療保険から介護保険リハビリテーションに移行した場合の評価を行う。


 (新)介護保険リハビリテーション移行支援料 500 点(患者 1 人につき 1 回限り)


[算定要件]
 入院患者以外の要介護被保険者等について、医療保険における維持期のリハビリテーションから介護保険リハビリテーションに移行した場合に算定する。


以下、修正があります(2014年2月17日午後1時)
 ポイントは次のとおりである。

  1. 入院以外の患者において、過去1年間に介護保険における通所リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーションを実施した実績のある医療機関は、平成27年度までは逓減された点数であるが、これまで通り算定できる。一方、実績がない医療機関はさらに診療報酬が1割カットされる。
  2. 平成28年度改定において再確認となっており、引き続き経過措置が延長となる可能性がある。
  3. 一方、要介護被保険者等であって、入院中の患者については、経過措置の対象患者から除かれるとあり、平成26年3月31日で疾患別リハビリテーション料算定は不可能となる。
  4. 医療保険から介護保険リハビリテーションに移行した場合の評価が新設される。


 外来患者においては、介護保険におけるリハビリテーションへの移行を推進しながらも経過措置の延長を認めている。一方、起算日から180日を超えた入院患者の場合、リハビリテーションを施行することが不可能となる。長期入院患者を狙い撃ちにした改定であることがわかる。
 一方、入院患者については、下記情報がある(コメント欄参照)。

平成26年度診療報酬改定の概要(未定稿)(全体版)」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000037113.pdf)[2014改定説明会のスライドの未定稿のようです]の49枚目のスライドに下記のような文言があります。

 
 入院患者については、期限を設けずに維持期リハビリテーションの対象患者とし、外来患者については、原則として平成28年3月31日までとする。(2年間の延長)


 したがって、入院患者の維持期リハビリテーションは無期限に継続されるようです。
 おそらく、外来患者の維持期リハビリテーションには「短時間通所リハ」等の介護保険での代替策がある一方、入院患者には無いためと推察されます。


 上記資料は、平成26年度診療報酬改定について内にあることを確認した。誤解を招く厚労省の文言のため、全く逆の理解をしてしまった。いずれにせよ、一安心である。