専門医の在り方に関する検討会中間まとめ(案)

 専門医制度が大きく変更されようとしている。専門医の在り方に関する検討会(第10回)議事次第 平成24年8月3日(金)において、2.中間まとめ(案)(PDF:312KB)が出された。ポイントは次のとおりである。

# はじめに

  • わが国においてはこれまで、医師の専門性に係る評価・認定については、各領域ごとの学会が自律的に独自の方針で専門医制度を設け、運用してきた。
  • この度、これまでの本検討会における議論を踏まえ、現時点での意見や今後引き続き議論すべき項目を以下のとおり中間的に取りまとめた。
  • 本検討会では今後、本年度末を目途とする最終報告書の取りまとめに向け、引き続き議論を深めてまいりたい。

# 専門医の位置づけについて

  • わが国における専門医の領域は概ね診療科に応じて設定されているため、新たな仕組みの下での専門医について、標榜科と関連させることも将来的には考えるべきである。

※ 以下の項目については引き続き議論が必要

  • 新たな専門医の仕組みにおける医療制度上の位置づけについて

# 専門医の認定機関について

  • 専門医の認定は、学会から独立した中立的な第三者機関が学会との密接な連携の下で行うべきであり、そのような第三者機関を日本専門医制評価・認定機構の提案や本検討会の議論を踏まえて速やかに設立すべきである。
  • 中立的な第三者機関は、以下のとおり運営すべきである。
    • 専門医の認定と養成プログラムの評価・認定の2つの機能を担うとともに、その際の専門医の認定基準や養成プログラムの基準の作成も第三者機関で統一的に行うこと。

# 専門医の領域について

  • 基本的な 18 の診療領域を専門医制度の基本領域として、この基本領域の専門医を取得した上でサブスペシャルティ領域の専門医を取得するような二段階制の仕組みを基本とすべきである。*1
  • 基本領域の専門医の一つとして、総合的な診療能力を有する医師(以下「総合医・総合診療医」という。)を加えるべきである。

# 専門医の養成数について

  • 新たな専門医の仕組みの議論においては、専門医の質の向上に加えて、専門医の数のコントロールも重要な問題である。
  • 専門医の養成数については、患者数や疾病頻度を踏まえ、各養成プログラムにおける研修体制を勘案して設定すべきである。


 今年6月に行われた日本リハビリテーション医学会学術集会でも、日本専門医制評価・認定機構の池田康夫氏の特別講演があったが、今回の中間報告で提起された内容とほぼ同様の内容である。池田康夫氏の私案では2015年に新たな専門医制度のもと研修医の事前登録を始める予定と述べていた。2012年度中に成案をまとめ、2013年度に法案が成立するとなると、2014年度の初期研修医に説明をし、翌2015年度に予備登録をし、2016〜2017年から新制度による後期研修(専門医研修)がスタートするというペース配分になる。準備期間は予想以上に短い。


 3.参考資料(PDF:50400KB)の6ページをみると、次のような記載がある。

〔必要求人医師数(診療科別)〕

  • 現員医師数に対する倍率が高い診療科は、リハビリ科1.23倍、救急科1.21倍、呼吸器内科1.16倍であった。なお、分娩取扱い医師(再掲)は1.11倍であった。

〔必要医師数(診療科別)〕

  • 現員医師数に対する倍率が高い診療科は、リハビリ科1.29倍、救急科1.28倍、産科1.24倍であった。なお、分娩取扱い医師(再掲)は1.15倍であった。

 高齢社会を迎え、リハビリテーション専門医の需要は高くなっていることがわかる。しかし、このことは逆に専門医養成制度の脆弱さを示している。リハビリテーション医の後継者育成のためにも、専門医制度プログラム整備は急務の課題である。

*1:註 リハビリテーション専門医は18の基本領域の中に入っている。