リハビリテーション科専門研修と診療ガイドライン

 新年明けましておめでとうございます。

 

 元旦ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、どこにも行かずスティホームしています。時間ができたので、この間宿題となっていたリハビリテーション科専攻医向けの診療ガイドラインのまとめを行っています。ご参考になれば幸いです。

 

【目次】

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(1)脳血管障害・頭部外傷など - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(2)運動器疾患・外傷 1)骨折 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(2)運動器疾患・外傷 2)脊椎・骨関節疾患ほか - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(3)外傷性脊髄損傷 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(4)神経筋疾患 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(5)切断 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(6)小児疾患 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(7)リウマチ性疾患 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(8)内部障害 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(9)その他 - リハ医の独白

・ リハビリテーション科に関わる診療ガイドライン(10)集中治療における早期リハビリテーションとCOVID-19関連 - リハ医の独白

 

<はじめに>

 公益財団法人日本医療機能評価機構のコンテンツのひとつとしてMindsガイドラインライブラリがある。日本における各種診療ガイドラインが収集されており、医師にとって必見のサイトのひとつである。しかし、2021年1月1日現在で583ものガイドラインがあり、慣れないと目的とするガイドラインを探すのに一苦労する。また、Web上で読むことができるものと「本文なし」で書籍を購入せざるをえないものの両者があり、確認が必要である。

 

  

 リハビリテーション科専門研修プログラム整備基準[日本専門医機構承認]を見ると、リハビリテーション科専門医の研修分野は、(1)脳血管障害・頭部外傷など、(2)運動器疾患・外傷 、(3)外傷性脊髄損傷、(4)神経筋疾患 、(5)切断、 (6)小児疾患 、(7)リウマチ性疾患、(8)内部障害、(9)その他となっている。さらに、診療実績基準として、1名の専攻医が経験すべき最低患者数は以下のように詳細に規定されている。

 

(1)脳血管障害・頭部外傷など:15例 うち脳血管障害13例、頭部外傷2例

(2)運動器疾患・外傷:19例 うち肩関節肘関節の疾患それぞれ1例を含む3例以上、股関節膝関節の疾患それぞれ1例を含む3例以上、脊椎疾患腰痛それぞれ1 例を含む3例以上、骨折2例以上、靭帯損傷・捻挫1例以上、末梢神経障害(絞扼性神経障害)1例以上、脊柱変形1例以上

(3)外傷性脊髄損傷:3例 (但し、脊髄梗塞、脊髄出血、脊髄腫瘍、転移性脊椎腫瘍等、外傷性脊髄損傷と同様の症状を示す疾患を含めてもよい)

(4)神経筋疾患:10例 うちパーキンソン病2例以上(但し、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症などを含めてもよい)

(5)切断:3例

(6)小児疾患:5例 うち脳性麻痺2例以上

(7)リウマチ性疾患:2例 うち関節リウマチ1例以上

(8)内部障害:10例 うち循環器疾患(末梢血管障害1例を含む)3例以上、呼吸器疾患2例以上、腎・内分泌代謝疾患2例以上

(9)その他:8例 うち摂食嚥下障害1例以上、不動(廃用)による合併症1例以上、がん1例以上、骨粗鬆症1例以上、疼痛1例以上

 

 リハビリテーション科専門研修プログラム整備基準[日本専門医機構承認]では、学問的姿勢として、科学的思考・論理的思考に基づく治療を実践するため、専門書を調べたり、EBMガイドラインに則した治療ができるとか、症例・手技に関して、インターネットや文献検索等を活用して情報収集を行う能力と態度を修得するといったことが強調されている。このような状況を考慮すると、リハビリテーション科に関わるガイドラインを主要なものだけでも揃えておき、いつでも参照できるようにすることが望ましい。

 今回、リハビリテーション医療に関わるガイドラインを、Mindsガイドラインライブラリを使って整理してみることにした。

 

<追記>

 リハビリテーション診療に関わるガイドラインを調べている途中で、理学療法ガイドライン第1版 - 日本理学療法士学会があることに気づいた。16の疾患・領域に分かれ、エビデンスがまとめられている。診療ガイドラインが未整備の分野、例えば、外傷性脊髄損傷や切断などは、本ガイドラインが参考になる。