ワクチン接種対象者しぼりこみで混乱
新型インフルエンザワクチン接種対象者を診療に直接従事する医療従事者にしぼったことが混乱を招いている。
【新型インフル】ワクチン接種 眼科医や窓口職員からも希望が殺到
2009.10.16 20:11
19日から始まる新型インフルエンザワクチンの医療従事者への接種について、医療機関から都道府県に対し、割り当てられた配分量(見込み)を大幅に上回る接種希望が寄せられていることが16日、分かった。希望量が配分の3倍近くに上る自治体もあるという。対象となる医療従事者の解釈を、新型インフルエンザ患者を直接診療する医師や看護師だけでなく、眼科やレントゲン技師、窓口の事務職員らにまで幅広くとらえたことなどが理由とみられる。
(中略)
一方で、「小さい診療所なので1人でも欠けると治療ができないため、窓口の事務職員も希望した」(大阪市内の診療所)という切実な声もあった。
ワクチンをめぐってはこの日、専門家から「国産であれば接種は原則1回」との方針が示された。ワクチン供給が拡大する見込みとなったが、すでに医療機関の反発を受けながらも配分量を絞り込んだ自治体もあり、現場では混乱が続いている。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/091016/trd0910162013011-n1.htm
ちょっと考えてみればわかることだが、「インフルエンザ診療に直接従事する医療従事者」だけに感染対策をしても、他の職種が軒並み罹患すれば、診療機能は麻痺する。窓口の事務は患者と対面して仕事をしている。肺炎を疑えば、放射線技師が胸部X線を撮る。
当院では、季節性インフルエンザに関しては、非常勤職員を含め、全員に行うことにしている。ただし、季節性インフルエンザワクチンも品不足となっている。これまでは、リハビリテーション専門職の養成校より、実習に出る予定の学生へのワクチン接種も受けていたが、今年は断らざるをえなくなった。全ては、必要量のワクチンを確保できなかったという厚労行政の失態が原因である。
ところで、「眼科医や窓口職員からも」という表現は、眼科医に対し失礼だと思う。内科や外科など生き死にに直接関わる診療科と比べ、眼科やリハビリテーション科のような生活機能向上にたずさわる医療分野が軽視されていると感じるのは、僻みだろうか。