ワクチン不足は医療機関のモラルが原因か?

 新型インフルエンザワクチンの不足が、医療機関のモラルにすりかえられた。

 新型インフルエンザのワクチン接種について、福井県は14日、今月の県へのワクチンの割り当て9200人分に対し、最優先で接種が行われる医療従事者分の接種希望数が大きく上回っていることを明らかにした。県は医療機関と調整し、配分などを決める。


 国の基本方針では、医療従事者を優先して来週から接種を開始。11月にぜんそくや糖尿病などの基礎疾患を抱える患者や妊婦など、重症化の恐れがある人を対象に接種する。


 県は医師会を通じ、医療従事者の接種希望数を集計しているが、14日段階でも「割り当てよりはるかに大きい」(県健康増進課)としている。問い合わせの中には「うちの病院だけは全員に接種をしてもらいたい」など、モラルを指摘されそうな要請まであるという。


 現段階でも医療従事者の希望数が割り当てを上回っており、県は基礎疾患患者らの需要なども考慮し、ワクチンの配分やスケジュールを調整する。基礎疾患患者らへの接種は遅れがないようにしたいとしている。同課では「不足気味なのは最初のうちだけではないか」とみている。


 国内では4社がワクチンを製造しており、年末には海外メーカーのワクチンの輸入が予定されている。

http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/fukui/091015/fki0910150237000-n1.htm


 典型的な御用記事である。県の発表をそのまま垂れ流しているだけである。医療機関側への取材はない。一部の極端な例をあげることにより、印象操作を行っている。11月になり、基礎疾患患者へのワクチン接種が遅延したり、足りなくなったりした場合、今度は患者のモラルが問題にされることになるだろう。
 新型インフルエンザワクチンの国内生産量が絶対的に不足していること、輸入開始が来年1月以降になること、不安をあおるマスコミ報道によりワクチン接種希望が急増していることに視点を向けず、医療機関のモラルにすりかえる報道姿勢に疑問を感じる。