新型インフルエンザ対策は兵站の確保から始まる

 http://www.sendai.miyagi.med.or.jp/influenza.html、第7号(2009年6月2日)に、「仙台市医師会の新型インフルエンザへの対応」(仙台市医師会副会長、感染症対策担当、永井幸夫氏)の文章が載っている。新型インフルエンザ対策において、兵站の確保が重要であることが簡潔にまとめられている。

関連エントリー

そこで私たちは、まず通常のインフルエンザよりも多少強力な新型インフルエンザの襲来を想定し、対策を立てることが急務と判断しました。そして、流行が始まれば、国の発熱外来構想はすぐに破綻するであろうことは明白であ り、私たちの外来で対応せざるを得ないだろうと考えました。


しかし、私たちが新型インフルエンザを迎え打つには、竹槍で戦うわけには参りませんので、武器と補給路の確保を仙台市に要請しました。武器とは診療所の医師をはじめ、スタッフのための予防用のタミフルとマスク、そしてときによってはガウンなどです。補給路とは、検査キットや抗インフルエンザ薬の流通の確保です。仙台市では、梅原市長の英断で、今年度の予算に多額の新型インフルエンザ対策費が計上されました。


 古代ローマ帝国が常勝だったのは、兵站確保を何よりも優先していたからと言われている。第二次大戦で日本の軍部があえなく壊滅したのは、精神論ばかりで兵站をないがしろにしたからである。後顧の憂いなく闘えると思えば、前線の士気は自ずから上がる。

今回は、急を要する事態になったため、軽症の新型インフルエンザを診療する協力医療機関を募ることに致しました。300を超える診療所(現在318ヵ所)が手を上げて下さいました。先生方の士気の高さに、感激です。

私たちには、仙台市民の生命を守るという大きな使命があります。また、医師会は会員の先生方の身を守らなければなりません。


幸いなことに、現在はスペインかぜの時代と比べ、生活環境や医療は飛躍的に進歩しています。インフルエンザ診断キット、抗インフルエンザ薬、抗菌薬、点滴、そして整った入院設備などがあります。そして何より、最新の情報をキャッチし、行動することができます。仙台市医師会の感染症対策委員会では、新型インフルエンザニュースを刊行し、最新の適切な情報を先生方に随時お知らせしております。今後、病診連携や急患センターでの対応など、沢山の課題もございますが、早急に対策を進めたいと思っています。


協力医療機関には、仙台市から診療所のスタッフ(医師、看護師、事務職員など)に予防用タミフル(1人30日分)とN95マスク(1人2枚/日、30日分)が支給されつつあります。


仙台市医師会は、仙台市と協力して、先生やスタッフの皆様が十分な備えをした上で、健康に留意しながら、市民のために新型インフルエンザとの戦いに存分に力を発揮できますよう支援して参りたいと思います。


どうぞよろしくお願いいたします。


 当院にも予防用タミフルが既に届いている。仙台市および仙台市医師会の迅速な対応に感謝する。仙台方式が各地域に広がることを期待する。