平成24年度介護報酬改定に関する審議報告(案)

 第86回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年11月24日にて、資料1平成24年度介護報酬改定に関する審議報告(案)(PDF:296KB)が提示された。介護給付部会の日程を見ると、次回、12月5日には大筋が決まる予定と判断した。リハビリテーションに関わる内容について、抜粋する。
 なお、これまでの審議資料については、第82回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年10月17日第83回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年10月31日第84回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年11月10日第85回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年11月14日にあり、以下に掲げる関連エントリーでも一部紹介している。


関連エントリー

4.訪問系サービス
(1)訪問介護
 自立支援型のサービスの提供を促進し、利用者の在宅における生活機能向上を図る観点から、訪問リハビリテーション実施時にサービス提供責任者とリハビリテーション専門職が、同時に利用者宅を訪問し、両者の協働による訪問介護計画を作成することについての評価を行う。

(2)訪問看護
 訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護について、時間区分及び評価の見直しを行う。

(3)訪問リハビリテーション
 訪問リハビリテーションについては、利用者の状態に応じたサービスの柔軟な提供という観点から、リハビリ指示を出す医師の診察頻度を緩和するとともに、介護老人保健施設から提供する訪問リハビリテーションについては、病院・診療所から提供する訪問リハビリテーションと同様の要件に緩和する。
 リハビリテーション専門職が、訪問リハビリテーション実施時に、訪問介護のサービス提供責任者と同時に利用者宅を訪問し、サービス提供責任者に指導及び助言を行うことについて評価を行う。
 訪問リハビリテーションの提供状況の地域格差を是正する観点から、本体事業所と一体となったサテライト型の訪問リハビリテーション事業所の設置を可能とする見直しを行う。

5.通所系サービス
(1)通所介護
 機能訓練指導員の多くを看護職員が兼務しているという実態や、看護職員が行う看護業務の実態を踏まえ、評価を見直すとともに、利用者の自立支援を促進するという観点から、個別の対応を重視した機能訓練(生活機能向上を目的とした訓練)を適切な体制で実施した場合の評価を行う。

(3)通所リハビリテーション
 通所リハビリテーションについては、医療保険から介護保険の円滑な移行及び生活期におけるリハビリテーションを充実させる観点から、リハビリテーションマネジメント加算や個別リハビリテーション実施加算の算定要件等について見直しを行う。併せて、サービス提供時間ごとの評価の整合性を図る観点から、評価の見直しを行う。
 また、手厚い医療が必要な利用者に対するリハビリテーションの提供を促進する観点から、要介護度4又は5であって、一定の状態である利用者の受入れを評価する見直しを行 う。
 なお、サービスの質を評価する観点から、利用者の要介護度の変化を指標とした評価について検討を行ったが、明確な相関関係が認められなかったため、引き続き、評価の方法について検討を進める。
 通所系サービス事業所と同一建物に居住する利用者については、真に送迎が必要な場合を除き、通所系サービスに係る送迎分の評価の適正化を行う。


 短期入所系サービスでは、リハビリテーションに関わる言及はない。

10.介護予防サービス
(1)訪問系サービス
 介護予防訪問介護については、訪問介護の見直しとの整合性を図る見直しを行う。
 また、サービス提供責任者とリハビリテーション専門職との協働による訪問介護計画の作成に対する評価や、サービス提供責任者の任用要件や、人員配置基準について、訪問介護と同様の見直しを行う。
 介護予防訪問リハビリテーションについては、訪問リハビリテーションと同様の見直しを行う。

(2)通所系サービス
 介護予防通所介護及び介護予防通所リハビリテーションについては、生活機能の向上に資するサービスを効果的に提供する観点から、選択的サービスのうち、複数のプログラムを組み合わせて実施した場合の評価を創設するとともに、通所介護、通所リハビリテーションと同様に、基本サービス費の適正化及びサービス提供事業者と同一建物に居住する利用者について、送迎分の適正化を行う。
 また、自立支援に資するサービスを、必要な利用者に適切に提供する観点から、事業所評価加算の算定要件の見直しを行う。
 介護予防通所介護については、アクティビティ実施加算を見直し、新たに生活行為向上プログラムを評価するとともに、人員配置基準について、通所介護と同様の見直しを行う。


 予防給付は、介護予防に効果があるものに重点化する観点から、次期介護報酬改定に向けて、効果が高いサービス提供の在り方について検証を行う必要がある。

11.介護保険施設
(2)介護老人保健施設
 また、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化するため、在宅復帰支援機能加算の算定要件の見直しを行う。併せて、入所中に状態が悪化し、医療機関に短期間入院した後、再度入所した場合の必要な集中的なリハビリテーションを評価するとともに、別の介護老人保健施設に転所した場合の取扱いを適正化する見直しを行う。


 上記については、第85回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年11月14日資料3さらに議論が必要な論点について(PDF:1518KB)内に言及がある。

12.経口移行・維持の取組
 介護保険施設における経口維持、経口移行の取組みを推進し、栄養ケアマネジメントの充実を図る観点から、経口維持加算及び経口移行加算については、言語聴覚士との連携を強化し、経口維持加算については歯科医師との連携の算定要件を見直す。


 この問題については、第84回社会保障審議会介護給付費分科会資料 平成23年11月10日資料5介護保険施設入所者に対する口腔・栄養関連サービスについて(PDF:564KB)で触れられている。摂食・嚥下評価の取り組みの今後の課題として、言語聴覚士がいないことを理由にあげた老健施設が47.6%にのぼっていること、これまでの規定に言語聴覚士が含まれていないことに対応したものである。


 概観してみたが、これまでに明らかになった資料に付け加えられた目新しい要件は特にない。前回、2006年度の診療報酬・介護報酬同時改定時と比べると、小幅の変化にとどまると予測する。