Interventions for improving mobility after hip fracture surgery in adults

 Interventions for improving mobility after hip fracture surgery in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Mar 16;(3):CD001704.を読んだ。PDFファイルにすると196ページに及ぶ長大な論文であり、眺めたというのが正しい。
 RCT19論文のシステマティックレビューである。結論は以下のとおり。

 There is insufficient evidence from randomised trials to establish the best strategies for enhancing mobility after hip fracture surgery.

 早期荷重、大腿四頭筋訓練、電気刺激、集中訓練、退院後のリハビリテーションなどが研究対象となっているが、どの治療戦略がもっとも良いかは分からないというのが現状である。


 ただし、日本で行っているリハビリテーション内容からすると疑問が残る研究もある。例えば、集中訓練に関するRCTとして紹介されているIntensive physical therapy after hip fracture. A randomised clinical trial. - PubMed - NCBIを見ると、次のような介入内容となっている。

Eighty-eight patients transferred for rehabilitation after surgical treatment for hip fracture were included in the trial. Forty-four patients were randomised to physical therapy 3.6 hours (median) a week, while the 44 control patients received physical therapy 1.9 hours a week.

 中央値で週3.6時間となると1日あたり約30分となる。コントロール群が週1.9時間1日16分と比べると、確かに訓練量は多いが、これで集中治療群とは言い過ぎではないかと感じる。


 亜急性期以降のリハビリテーションに関しては、日本でもRCTが可能ではないかと思う。例えば、訓練効果があがりそうな対象を選び、施設をランダムに選ぶことで訓練量の調節をするという比較試験である。具体的には充実加算・休日提供加算をとっている回復期リハビリテーション病棟と、両者とも算定していない回復期リハビリテーション病棟とに無作為に割り当てるという研究である。


 本論文は、大腿骨頚部骨折術後のリハビリテーションに関わる基本資料である。このような重要な論文を無料で公開しているCochrane Databaseにあらためて感謝をしたい。