サンデルだったら「正義」の視点でピストリウスをどう論じるか
ピストリウスが、400m予選を無事通過した。これに対し、同走したアスリートから抗議がだされている。
国際陸連によると、同選手は健常者と比べて少ないエネルギー消費で走れるとの研究結果もあり、賛否の議論は尽きない。レース後「アンフェアだ」と憤った中米選手もいたが、同組1着だったクリス・ブラウン(バハマ)は「彼の挑戦を歓迎したい」と述べた。
義足のピストリウスが準決勝進出 「アンフェア」と憤る選手も― スポニチ Sponichi Annex スポーツ
同じような議論が、サンデル著、これからの「正義」の話をしよう、であったことを思い出した。
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
- 作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/05/22
- メディア: 単行本
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足に血行障害のあるケーシー・マーティというゴルファーが、プロゴルフツアーを運営するPGAに対してゴルフカートの使用を認める訴訟を起こした。ゴルフツアーにおいて、ゴルフ場を歩いて移動することも競技の本質であるとPGA側は主張した。最終的に最高裁でカート使用が認められたが、「正義」の講義でもこの問題に関し、賛否両論の立場から活発な議論が行われた。
オスカー・ピストリウスの例は、より本質的な議論を巻き起こしている。陸上競技において、カーボン製義足が結果を左右する機械的助力を与えるものかどうかが問題となっている。サンデルが好みそうな題材である。ハーバード大学の名物講義で取り上げられるのではないかという気がする。