義足のランナー北京五輪出場ならず
南アフリカの両下腿義足ランナー、ピストリウスの北京出場が認められませんでした。
2008/01/14-21:31 義足走者ピストリウス、北京五輪出場は不可能に=国際陸連
【ロンドン14日時事】国際陸連(IAAF)は14日、両足義足の陸上選手で、アテネ・パラリンピック200メートル金メダルのオスカー・ピストリウス(21)=南アフリカ=が装着しているカーボン繊維製の義足が、規則で禁止されている機械的な助力を与え、公正な競技を妨げるとして、IAAF規則下の大会への出場は認められないと発表した。これにより、同選手が希望している北京五輪出場も不可能になった。
IAAFはケルン大学(ドイツ)の教授に依頼して、昨年11月に同選手も参加して調査を実施。生体力学的、生理学的の両側面から検証された結果、同義足の生む効果として、障害のない選手と比べ、少ないエネルギー消費や地面をけった際の高い推進力などが確認された。
ピストリウスは生後11カ月で両ひざから下を切断。カーボン繊維製の義足をつけて一般の陸上大会にも出場し、「ブレードランナー」の異名を持つ。ピストリウスは先に、IAAFが同五輪出場を認めなかった場合、スポーツ仲裁裁判所(CAS)などへ提訴する可能性を示唆している。 (了)
障害のない選手から脅威とされるようになるとは、義足の進歩もついにここまできたか、という印象を強く持ちます。
もちろん、義足をつけるだけで誰でも速く走れるわけではありません。アスリート、ピストリウスの鍛錬のたまものがあったからです。同時に、義足メーカー、義肢装具士、そして、リハビリテーションスタッフなどチームサポートも重要な因子です。
ピストリウスをサポートしているメーカーOssurのホームページの中にAn Amputee Advantage?という記事があり、切断者と健常者の比較をしています。
両下腿切断者の場合、スタートは苦手のようです。健常者はスタート時に前方に推進力が働きますが、両下腿切断者の場合には斜め上方に力が向いまず立ち上がる必要があります。走行中、立脚期のブレードにエネルギーが蓄えられます。そして、足部前部にエネルギーが移り、前方への推進力として使用されます。この時に、バネのような作用が働きます。
ピストリウスが、スタートダッシュが必要な100mより、比較的長い距離を走る400mを得意としているのは、上記理論で説明できます。
ピストリウスの活躍は、義足アスリートを勇気づけています。
Toru's Web 義足のハイジャンパーというサイトを見つけました。交通事故で右下腿切断となりながら、自己ベスト2mという記録を持っているハイジャンパーです。ちなみに走り高跳び男子の世界記録は2m45、日本記録は2m33、女子の世界記録は2m09、日本記録は1m96です。ほぼ女子の世界記録に相当します。スポンサーとして、アディダスや大塚ベバレジもついています。本格的なアスリートです。
世の中にはとんでもない義足スポーツ選手があちこちにいることがわかりました。北京パラリンピックでの活躍を祈りたいと思います。