これからの高齢者医療を考えるページ

 CBニュース高齢者医療「よく分かるページ」開設という記事が載った。引用する。

 今年4月から始まる予定の「後期高齢者医療制度」に関する国民の関心が高まる中、青森県保険医協会は新制度の仕組みや問題点などを解説する「どうなる!?高齢者医療 高齢者医療を考えるページ」を協会ホームページに開設した。同協会は、高齢者医療に積極的に取り組み、昨年11月には「高齢者の医療を考える県民フォーラムinあおもり」を開催。新制度について、政府は今年4月からの高齢者の負担増一部凍結を決めたものの、「(一部凍結ではなく)完全凍結と抜本的な見直しが欠かせない」と訴えている。


 これからの高齢者医療を考えるページはこちら。後期高齢者医療制度の内容が分かりやすく説明されている。どうしてこんな無茶苦茶な制度が通ったか不思議で仕方がない。


 登録医制度については、次のように記載されている。

* 医療提供体制について高齢者の選択権に制限
 後期高齢者の方はあらかじめ登録した「かかりつけ医」で受診しなくてはならず、かかりつけ医以外の受診が制限されます。 さらに、受診回数すら一定の制限を設けることも懸念されています。
* 登録かかりつけ医に制限?
 もし、後期高齢者の人数に応じたかかりつけ医の数を定めることになれば、除外される(高齢者がかかりつけ医に選択できない)医療機関が生じてしまいます。


 新着情報の中には、資料集も用意されている。堤修三(大阪大学)、「高齢者医療の問題点」から冒頭部分を引用する。

# 何故、高齢者医療制度はこのような体系となったのか


 当初の厚生労働省の案は、65歳以上の高齢者医療費の保険者間年齢構造調整だった。しかし、この案には高齢者にも応分の保険料負担を求めるという視点がなかった。
 日本医師会は、後期高齢者を独立の医療保険制度の対象にし、その医療費を抑制して一般医療費に回すという案を出した。
 与党は、両者を折衷して、65〜74歳は年齢構造調整、75歳以上は独立保険制度とするよう主張し、それが平成15年の基本方針に盛り込まれた。


# 後期高齢者医療制度の無理

 後期高齢者を独立させる保険制度上の必然性はない。
 傷病リスクの高い後期高齢者に加え、同様に高リスクである65〜74歳の障害者まで集めて保険集団を構成するのは、リスク分散という保険制度の基本に反する。


後期高齢者の保険料は半ば前払いの利用者負担のようなものか。このような加入者では被保険者自治も成り立ちにくい。

 後期高齢者には心身の特性があり、それに相応しい診療報酬体系とする必要があるとしても、従来の健康保険・老人保健の診療報酬のように、その中で独自の定めをすれば済むこと。診療報酬のために保険制度を独立させる必要はない。ただし、登録人頭払のような従来の診療報酬体系とは全く異なるものを導入しようとするのであれば、政治的にも事務的にも独立制度にする方がもっともらしく見えて、スムーズに進むということは考えられる。


*10月の特別部会報告で「後期高齢者医療の多くが74歳以下の者に対するものと大 きく異なるものではない」とされたことにより、この目論見の前提が崩れた。

 74歳までは健保・国保と別々の保険に加入していた現役被用者から自営業者や無業者までを、75歳以上になったからといって1つにまとめることには無理がある。
 被保険者に保険料の拠出を求める以上、とりわけ所得比例の保険料を求める場合、稼得形態が同質的なグループで保険集団を組織する方が納得を得やすい。
 74歳まで保険料納付が求められなかった健保被扶養者が75歳になると保険料負担が求められる不自然さ。夫が75歳以上に達したら、突然、国保保険料の負担を求められる74歳以下の健保被扶養者の妻。


介護保険でも同様の問題はあったが、介護のための新たな保険であることから、大きな問題にはならず。


*高齢者にも応分の保険料負担を求めるというのであれば、74歳以下の者も同様に扱う必要がある。


 後期高齢者保険料はすぐに天井に突き当たる。
(後略)


 後期高齢者医療制度創設には、日医も関わっていたということ。登録医制度だけ反対しても説得力がない。日医自身の運動を強化し、後期高齢者医療制度は凍結→廃止に追い込む運動を再構築するしかないだろう。