不利益続々(北海道)

 北海道新聞国保離脱で助成対象外に 後期高齢者制度、75歳以上に不利益続々、より。

国保離脱で助成対象外に 後期高齢者制度、75歳以上に不利益続々(04/17 17:36)


 一日に始まった後期高齢者医療制度長寿医療制度)の導入に伴い、国民健康保険から外れた七十五歳以上のお年寄りが、国保加入者を対象にした自治体の助成制度を利用できなくなる事態が道内で相次いでいる。四月からがん検診などの自己負担が増え、新制度下で保険料が上がった人には追い打ちになる。制度設計のほころびが露呈した格好だが、厚生労働省は対応策を議論したかどうか明確にしていない。


 札幌市は一九六二年から、はりやきゅうなどの施術を受けた場合、国保が使えない一部症例の患者を対象に一回あたり千六百円を助成する独自制度を設けてきた。昨年度は、腰痛などの治療に必要なマッサージを受けた人など約十四万五千件の利用があり、うち約三万件が七十五歳以上のお年寄りだった。


 しかし、後期高齢者医療制度が始まった四月から七十五歳以上は対象外となり、全額自己負担となる。札幌市は「対象外となった方々に説明していくしかない」と戸惑う。


 帯広市では、五千円の自己負担で日帰り人間ドックや脳ドックを受けられる助成制度の対象から、七十五歳以上が外れ、「無料のがん検診などほかの制度を利用してもらえれば」と同市担当者は話す。函館市苫小牧市でも七十五歳以上は脳ドックなどの助成対象外となる。釧路市では国保加入者を対象にした骨粗しょう症検診の半額助成制度が使えなくなった。


 厚労省は「当時の担当者は法が成立した二年前の時点でこの問題を認識していたはずだが、そこまで手が回らなかったか、無視する結果になったかは分からない」(保険局)とあいまいな答えに終始。制度を運営する北海道後期高齢者医療広域連合は「仮に市町村に代わって全道をカバーする新助成制度を設ければ保険料が上がってしまう。今後の検討課題だが、今すぐには対応できない」(瀬川誠事務局長)と困惑している。


 都道府県単位の広域連合が保険者となったため、自治体独自の助成制度が受けられなくなる。少しでも高齢者の医療費負担を減らそうと考えると、今度は保険料が上がってしまう。北海道では、65〜74歳の重度障害者が医療費助成を受けようと思うと、後期高齢者医療制度に移行しなければならない。後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者にとっても、65〜74歳の重度障害者に対しても厳しい制度となった。