「医療費増の痛みを自覚させる」制度

 全国保険医団体連合会のホームページに、「増加する後期高齢者保険料を試算しました」という資料が掲載された。


 現在の後期高齢者の保険料負担割合は10%である。しかし、この負担割合は2年ごとに以下のように改定される。なお、若人とは、75歳未満人口を指す。


 10%+2008年度の若人負担割合(約4割)×2008年度から改定年度までの若人減少率×1/2


 今後、少子高齢化に伴い、後期高齢者保険料率は上昇する。団塊の世代が75歳以上になる2025年には、後期高齢者負担率は13.2%となる。医療給付も伸びることを考慮すると、2025年の平均保険料は182,745円(2008年の約2.2倍)となる。


 CBニュース(2008/2/6)、後期高齢者制度は“悪魔の選択”より、厚生労働省高齢者医療制度施行準備室室長補佐を務める土佐和男氏の有名なフレーズを引用する。

「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにした」


 土佐和男氏の講演は、2008年1月18日、石川県後期高齢者医療広域連合主催の「後期高齢者医療フォーラム」にて行われた。詳しい内容については、土佐のまつりごと、後期高齢者医療 「医療費増の痛みを自覚させる」と厚労省役人に紹介されているので、ご覧いただきたい。


 後期高齢者だけを集めて医療制度を創設した厚労省官僚の本音が出ている。後期高齢者医療制度への批判に対し、低所得者層への保険料減免など小手先の対策が検討されているが、本質は何も変わらない。団塊の世代が大量に75歳以上になる2025年には、保険料を払うことができないお年寄りが続出することは間違いない。