平成18年度要介護認定制度改定時より要介護1以下では軽度化が進行

 結果の概要|厚生労働省より、年間継続受給者数の要介護(要支援)状態区分の変化別割合を、各年度ごとに追ってみた。
 なお、本統計は年間継続受給者を対象としているため、死亡者や認定を継続しなかった者は含まれていない。
 要介護認定システム改訂は、平成15年度と平成18年度に行われている。



 平成15年度



 平成16年度



 平成17年度



 平成18年度



 平成19年度


# 平成15年度〜17年度にかけて
 重度化率は、平成15年度が最も高く、17年度にかけて緩やかに下がっている。例えば、要介護2の重度化率は、平成15年度が27.9%だったが、16年度24.5%、17年度20.0%となっている。この傾向は要介護度に関わらず、同様の傾向を示す。
 平成15年度が重度化変更率が高かったのは、認知症を持つ要介護者がより重度に出るように認定が変更されたからという意見がある。認定を重なるにつれ、変更率が下がってきたという説明になっている。


# 平成18年度、19年度
 要介護2以上においては、平成15年度改訂時と同様の傾向がある。例えば、要介護2の重度化率は平成18年度には25.7%とやや上昇したが、19年度には22.4%と下がっている。
 注意すべきは、要介護1以下の軽度化率が上昇していることである。平成15年度〜17年度では、要介護1の軽度化率は5.3〜7.1%に過ぎなかった。それが、平成18年度になると、21.7%に跳ね上がる。このうち要支援2への変更は16.7%である。さらに、平成19年度においては、要支援2から要支援1への変更が12.0%となっている。要介護1の軽度化率も12.0%である。平成15〜17年度の軽度化率5.3〜7.1%に比べると大幅に上昇していることがわかる。


 制度の変更に伴い要介護認定変更率が上下するという現象は、要介護認定制度そのものに対する信頼を損ねる。特に、平成18年度要介護認定制度改定時より要介護1以下では軽度化が明らかに進行している。この時に導入された介護予防の成果があがった訳ではない。
 平成19年度  介護保険事業状況報告(年報) ポイントをみると、平成18年度の介護給付は1ヶ月平均で4,669億円であり、前年度の4,715億円と比し低下している。高齢化が進行しているにも関わらず、給付が低下するという現象は異常である。
 要支援1、要支援2になると、訪問介護通所介護・通所リハビリテーションは、月あたりの包括制となる。介護報酬そのものも引き下げられ、利用が制限される。要介護認定制度変更が介護給付抑制の手段として用いられたことが如実に示されている。