要介護認定狂想曲(続き)

 介護認定審査会に出席した。2009年度版要介護認定システムになってから2回目である。前回と比べ、審査委員も事務局もだいぶ慣れてきた。気づいた点をまとめる。


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# 非該当の嵐
 非該当=自立と一次判定される比率が高い。全体の約1/3となる。全体を要支援1、2、要介護1の軽度群と要介護2以上の重度群に分けると、軽度群の半分は一次判定で非該当となっている。運動機能の低下している認知機能低下者の中には、どんなに行動異常があっても非該当になる者がいる。


# 歩行機能が適切に評価されない。
 一次判定では、5m歩くことができれば歩行可能と判断される。ふだん車椅子を使用している人でも、5mなら何とか歩行できることがある。この場合、一次判定では自立と判定されてしまう。この項目は、2000年の介護保険発足時より変更がない。狭い日本の家屋を歩行できれば良いという考え方である。ちなみに、Barthel IndexやFIMにおいては、隣の家に行くために必要な距離として50m以上歩行できなければ自立とならない。介護保険の評価は、標準的な評価法と明らかに異なっている。


# 経過措置の矛盾
 要介護認定変更があった場合でも、申請者の申し出があれば、以前の認定結果が適用されることになっている。これまでは、要介護度が下がった場合のみ前回認定とするという意向ばかりだったが、今回、認定が上がっても変更しないという回答をした申請者がいた。明らかに介護にかかる手間が増えていても、要介護度が同じだと介護サービス事業者の収入は増えない。利用者にとっては、安い利用料で現在と同じサービスを受けることができる。割り切れない思いがする介護サービス事業者もいるだろう。


 要介護認定狂想曲は、矛盾を蓄積しながら、今後も続く。次の山場は、検証委員会が行われる7月である。