学校施設バリアフリー化指針
はじめに
「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」の一部改正(平成14年7月公布、平成15年4月施行)において、学校施設が新たにバリアフリー化の努力義務の対象として位置付けられた。
一方、「障害者基本計画」(平成14年12月閣議決定)において、学校施設のバリアフリー化が求められるとともに、ユニバーサルデザインの観点から、すべての人にとって生活しやすいまちづくり、ものづくりを推進することが求められている。
このため、文部科学省に「学校施設のバリアフリー化等に関する調査研究協力者会議」を平成15年8月に設置し、小学校、中学校を中心に学校施設のバリアフリー化等を推進するための基本的な考え方や計画・設計上の留意点等について検討を進め、平成16年3月に同協力者会議が報告書「学校施設のバリアフリー化等の推進について」を取りまとめた。
2 既存学校施設のバリアフリー化の推進
学校施設のバリアフリー化を一層推進していくためには、既存学校施設のバリアフリー化を積極的に推進することが必要である。
(1) 関係者の参画と理解・合意の形成
既存学校施設のバリアフリー化を計画的に推進するためには、当該地方公共団体における全体的な中・長期の行政計画やバリアフリー化整備計画等の上位計画との整合を図りつつ、学校、家庭・地域、行政(教育委員会、営繕部局、都市計画部局、財政部局、防災部局)等の参画により、幅広く関係者の理解・合意を得ながら、既存学校施設のバリアフリー化に関する整備計画を策定することが重要である。
(2) バリアフリー化に関する合理的な整備計画の策定
地方公共団体等の設置者は、これまで述べた学校施設のバリアフリー化等に関する基本的な考え方を踏まえ、第2章で述べる計画・設計上の留意事項を参考として、既存学校施設のバリアフリー化に関する整備計画を早急に策定し、計画的にバリアフリー化を推進していくことが重要である。
既存学校施設のバリアフリー化に関する整備計画を策定するには、まず、所管する学校施設のバリアフリー化の現状を調査し、障害のある児童生徒等の安全かつ円滑な利用に対する障壁を把握する。その後、それらの障壁を取り除くための整備方法を検討するとともに、必要となる経費を試算するなど全体の事業量を把握する。さらに、将来動向の推計も含めた障害のある児童生徒の在籍状況等を踏まえ、各学校施設のバリアフリー化に関する整備目標を設定し、所管する学校施設に係る合理的な整備計画を策定することが重要である。
なお、バリアフリー化に関する整備計画の策定に際しては、運営面でのサポート体制と連携して、段階的な整備目標を設定することも有効である。
(3) 計画的なバリアフリー化に関する整備の実施
設置者は、所管する学校施設に係る整備計画に基づき、計画的に学校施設のバリアフリー化に関する整備を実施することが重要である。
なお、障害のある児童生徒等が安全かつ円滑に学校施設を利用するために障壁を取り除くという観点からは、円滑に利用できる便所の整備、校内を円滑に移動するためのスロープやエレベーター等の設置が重要である。さらに、個々の障害に応じた適切な整備を実施する必要があることを考慮して、バリアフリー化に関する整備を実施することが重要である。
また、学校施設の耐震化や防犯対策に係る整備等と併せてバリアフリー化に関する整備を実施するとともに、小修繕や既製品を用いる等により対応することも有効である。
学校施設のバリアフリー化が国策であることがわかる。ただし、財政的支援に関しての記述はなく、学校施設のバリアフリー化も努力義務に留まっていることが難点といえる。